CAFC判決

CAFC判決

TianRui Group Co. Ltd. 対 Int’l Trade Comm’n事件

No. 2010-1395,2012,1,11-Oct-11

この事件においてCAFCは、国内産業を国内市場における損害から保護する必要がある限り、外国で発生した営業秘密の不正利用に基づく調査及び救済を拡張的に行う権限がITCにあることを認めました。

アムステッド(Amstead Industries, Inc.)は、鋳鋼鉄道車輪の製造工程に関する営業秘密を保有していた。2005年にアムステッドからの技術ライセンスが失敗に終わった後で、チャンルイ(TianRui Group Company Limited 及び TianRui Group Foundry Company Limited)はアムステッドの中国のライセンシーであるダートン(Datong ABC Castings Company Limited)から9名の従業員を採用した。

アムステッドは、その旧ダートンの従業員が営業秘密である製造工程の詳細をチャンルイに漏洩したことにより、アムステッドの営業秘密の不正利用(関税法337条違反)が行われたと主張して、米国国際貿易委員会(ITC)に提訴した。337条の下でITCは、米国の知的財産権を侵害する製品、もしくは侵害して作られた製品を、米国内から排除する権限を持つ。

ITCに対し、チャンルイは、不正利用を指摘された営業秘密を用いて中国の国内で製造された製品の輸入を阻止する権限はITCにはない、と主張して、ITCの審査手続を終了するよう申し立てた。

行政法判事はチャンルイの主張を採用せず、337条は輸入品と不正な競争方法との結びつきに焦点を当てた条文であると述べた。証拠聴取の後、行政法判事はイリノイ州の営業秘密保護法を適用し、チャンルイはダートンの製造技術に関するアムステッドの営業秘密を不正利用したと認定した。

チャンルイは、アムステッドが米国の国内ではすでにその秘密の製造技術を実施していないことを理由に、国内産業の要件を満たしていないと主張した。行政法判事は、不正利用がアムステッドの国内産業に損害を与えたならば、営業秘密に関する技術が現在国内で使用されていないことは要件とはならないと判断した。

判事は、アムステッドの国内産業はチャンルイの輸入によって損害を受けたと認定し、チャンルイが337条に違反したと結論付けた。ITCはチャンルイの鉄道車輪の輸入を排除する限定的な輸入排除命令を決定した。チャンルイはこれに対し控訴した。

控訴審においてCAFCは、海外で不正利用された営業秘密の搾取により製造された輸入品に337条が適用されるか否かに注目し、営業秘密に関する337条の手続には、州法の営業秘密保護法ではなく、連邦法の営業秘密保護法が適用されると説明した。CAFCはさらに、連邦法は、明瞭な限定がない限り、米国の領有支配権内だけに適用されることを確認した。

しかしながら、CAFCは、治外法権に対する推定は、ここでは次の3つの理由から適用されないと認定した。第一に、337条は本質的に国際的輸入取引に重点を置くものであり、国内の関心事だけを扱うものではない。第二に、ITCの排除命令は純粋に外国での行為を取り締まるものではなく、主張された不正利用の要素の立証目的に、外国での活動が関連する場合のみ取り締まるものである。第三に、外国で発生した行為を考慮することを認める法律解釈に、立法経緯の裏付けがある。この推論に基づき、CAFCは、海外で発生した営業秘密の不正利用の行為に起因する337条違反を認定する権限がITCにあると判示した。

チャンルイは控訴審においても、アムステッドがその営業秘密をもはや米国内において実施していないことを理由に、国内産業要件を満たしていないと主張した。チャンルイは、営業秘密に関する調査は、制定法の知的財産権における要件と同様に国内産業を要件とするという主張において、337条の1988年修正に関する立法経緯に依存した。CAFCは、1988年の上院報告書による法案は立法化されかったことを理由にチャンルイの主張を採用しなかった。

CAFCは、337条の明確な文言は、チャンルイが要求した「産業」の厳格な定義を法定の知的財産権に限定しており、そのような要件を営業秘密の調査には適用しない、と説明した。むしろ、アムステッドは損害を被った関連する産業を示す必要があるだけである。

キンバリー・ムーア判事は、多数派の判決は337条に不当な域外適用を認めていると反対意見を述べた。ムーア判事の意見によると、337条違反の不正行為は鉄道車輪の輸入ではなく、中国で発生した営業秘密の不正利用である。法律の文言も立法経緯も、議会が337条に米国領域外の効果を持たせることを意図したことを明瞭には示していないので、CAFCは337条の適用範囲を米国内の不正行為に限定すべきであった、と主張した。

チャンルイ判決は、外国で発生した営業秘密の不正利用に対する米国の国内での救済が拡張的に得られることができることを示した点で重要である。この規定は、知的財産権が一部の国々では尊重されていないという懸念事項に対する米国の国内での救済措置と考えられる。

この事件は、海外で営業秘密を不正利用された知的財産権の所有者にとって、ITCが強力な法廷地になることを明らかにした。

Key Point?この事件においてCAFCは、国内産業を国内市場における損害から保護する必要がある限り、外国で発生した営業秘密の不正利用に基づく調査及び救済を拡張的に行う権限がITCにあることを認めた。