CAFC判決

CAFC判決

Modern Font Applications LLC 対 Alaska Airlines Inc. 事件

CAFC, No. 21-1838 (December 29, 2022)

この事件において、地裁は、訴訟をてこにしてライセンス許諾を迫る特許管理会社の社内弁護士について、保護命令下の証拠書類の閲覧ができるattorneyではないと判断し、CAFCもこの判断に対する中間上訴を認めなかった。

秘密保護された証拠への社内弁護士によるアクセスについて争われた事件

 

ユタ州では、裁判の迅速な進展を促すために「標準保護命令」(Standard Protective Order)を認めている。Modern Font Applications(原告)との間で特許訴訟をかかえているアラスカ航空(被告)は、原告からディスカバリー要求のあったソースコードに「CONFIDENTIAL INFORMATION – ATTORNEYS’ EYES ONLY」(機密情報―弁護士のみ閲覧可)と表示して「標準保護命令」を求めた。保護命令が認められると、原告の社内弁護士は被告のソースコードにアクセスできなくなるため、原告は社内弁護士が証拠開示された文書全てにアクセスできるように「標準保護命令」を変更するようモーションを提出した。しかし、地裁の予審判事(magistrate)は、原告のモーションを退けた。予審判事は、ソースコードには営業秘密性があり、高いレベルでの保護適格があると認定した。予審判事はさらに、原告の社内弁護士が訴訟に関するライセンス活動に従事し、原告が訴訟を通じたライセンス許諾業務に従事しているため、原告の社内弁護士がcompetitive decisionmaker(競合する決定者)であると認定した。この予審判事の認定を地裁判事も支持した。原告は、認定の取消しを求めてCAFCに中間上訴(interlocutory appeal)した。

CAFCは、この控訴を退け、その理由を次のように述べた。特許事件で地裁の判決がでないうちは控訴が認められないのが原則である(collateral order doctrine)。本件の場合、地裁の判決が出されていないので、CAFCには中間上訴を受理する管轄はない。

このCAFC判決は本案に対する判決ではないが、パテントトロールの訴訟戦略に対する抑止効果が期待できる。