CAFC判決

CAFC判決

Wild Horse Concepts, LLC対Hasbro, Inc.事件

Supreme Court of Rhode Island, No. 21-129 (January 10, 2023)

この事件でロードアイランド州最高裁は、トレードシークレット窃取の問題に関して、州の関連法を適用し、原告が求めるコモンロー上の救済を認めなかった。

原告Wild Horse Conceptsは、Hasbroの元社員による会社で、玩具用キャラクターのアイデアを玩具会社に提案することを生業としていた。Hasbroとの間で2年間の秘密保持契約を結んだ原告は、アクション・キャラクターの‘MolecuLords’のアイデアを被告に提示した。Hasbroが検討用にMolecuLords関連資料を所望しため、原告はHasbroに資料を渡した。その際、資料の扱いについて書面での契約は作成されず、アイデア使用のライセンスについても協議されなかった。

2年後、Hasbroはいくつかのキャラクター・シリーズを発売した。その中の1つに‘スーパー・ヒーローMashers’があった。Wild Horse Conceptは、それがMolecuLordsのパクリであるとして、Hasbroを「黙示契約の違反」と「トレードシークレット窃取」を理由に州裁判所に提訴した。

ディスカバリーの後、Hasbroは略式判決(サマリー・ジャッジメント)を求めるモーションを提出し、州裁判所はそれを認めた。裁判所は、(1)書面での秘密保持契約があるので「黙示契約の違反」の主張は成立しない、(2)トレードシークレットは州内では「ロードアイランド統一トレードシークレット法(RIUTSA)」で保護され、それ以外のコモンロー上の救済は受けられないところ、MolecuLordsが保護されるトレードシークレットであることは立証されていない、(3)そもそもMolecuLordsのアイデアは玩具市場に出回っておりトレードシークレットとしての保護適格がない、などを理由に挙げた。Wild Horse Conceptsはこの認定の破棄を求め、州最高裁判所に上告した。

州最高裁判所は、サマリー・ジャッジメントを妨げる事実上の問題はないとして、原審(州上級裁判所)の判決を支持し、その理由を次のように述べた。Wild Horse Conceptsは本件にRIUTSAが適用されるのを避けるため、知的財産の窃取を理由とするコモンロー上の保護を請求した。しかし、Wile Horse Conceptsが主張する知的財産はトレードシークレットの定義に含まれるものであり、そのコモンローによる保護はロードアイランドではRIUTSAに抵触するもので、訴訟原因とはならない。