CAFC判決

CAFC判決

Lite-Netics, LLC 対 Nu Tsai Capital, LLC et al.事件

CAFC, No. 23-1146 (February 17, 2023)

この事件においてCAFCは、特許侵害を取引先に通知することに対して州法による不法行為の抗弁が認められるのは、通知が「悪意」(bad faith)のものであり、その「悪意」が立証された場合だけ抗弁が認められるとの基準に従って、地裁の差止め命令を破棄した。

特許侵害の取引先への通知に対する差止め命令が破棄された事例

Lite-Netics は、住宅の軒先などに吊す磁石式のチェーン・ライト(string lights)に関する2件の特許(7,549,779及び8,128,264)を保有する。同社は、クリスマス照明器具の市場で競合するH2Lを特許侵害で訴えた。Lite-Neticsは、訴状を提出する前に、H2Lと自社製品を扱う販売店(そのうち幾つかの店舗はH2L製品も扱っていた)に対し、類似品の製造業者を特許侵害で訴える意向を通知した。この通知書では侵害者の名前が特定されていなかった。訴状提出後、Lite-Neticsはさらに、H2Lが侵害者であることを特定して販売店に通知書を送付した。それを受けてH2Lは、州法に基づく不法行為の請求を含む反訴を地裁に提出した。

地裁は、(1)H2Lが特許侵害者であること、(2)H2LがLite-Neticsの製品デザインをコピーしたこと、(3)H2L製品の取引先(販売店)が訴えられる恐れがあること、などを述べることを禁止する、Lite-Neticsに対する予備的差止め(preliminary injunction)を認めた。Lite-NeticsはCAFCに控訴した。

CAFCは地裁の予備的差止命令を破棄し、その理由を次のように説明した。言論の自由を拘束するような予備的差止めを行うためには十分な検討が必要である。連邦法の下で、善意(good faith)で行動する特許権者が、通知の中で特許侵害を主張し裁判の可能性を伝える場合には、州法上の不法行為責任は免除される。州法上の不法行為が認められるのは、侵害を主張する行為が「悪意」(bad faith)の場合であり、悪意を立証した場合だけに限定されなければならない。本件においては悪意を立証するために求められる「客観的な根拠の欠如」について具体的に検討され、この判断において地裁の権限の濫用であったと判断した。