CAFC判決

CAFC判決

SSI Tech.対 Dongguan Zhengyang Electronic Mechanical (DZEM)事件

CAFC, Nos. 21-2345, 22-1039 (February. 13, 2023)

この事件においてCAFCは、特許の非侵害を認めたものの、原告が被告の取引先に侵害訴訟を知らせたことに関して、これが不法行為となるためには「客観的な根拠の欠如」が必要である一方、原告が専門家の意見を聞いた上で行動していたことに基づいて、不法行為にあたらないと判断した。

原告が被告の取引先に侵害訴訟の提起を知らせたことに対する被告の反訴が認められなかった事例 

SSIは、燃料タンク内の燃料の状況を感知するセンサーに関連する2件の特許(8,733,153及び9,535,038)をDZEMが侵害したとして地裁に提訴した。

被告(DZEM)は、原告の2件の特許が無効である、被告の取引先に侵害訴訟を知らせたのは不法行為となると主張して反訴した。地裁は、(1)特許非侵害の認定、(2)特許無効の反訴の却下、(3)不法行為の否定、を含む略式判決を下した。

地裁は、特許侵害の主張は専門家の報告を根拠にしたもので、取引先への侵害訴訟通知は不法行為にはあたらないと認定した。そこで被告はCAFCに控訴した。

CAFCは、判例に基づいて、訴訟記録中に相互に相容れない専門家証言が存在しているとしても、専門家の証言が存在することは、SSIの行為が合理的であることを示しているとした。そして、不法行為の反訴が認められるために判例が求める「客観的な根拠の欠如」が、「明瞭かつ説得力のある」証拠により裏付けられていないいと判示して、地裁の認定を支持した。