CAFC判決

CAFC判決

In Re Google LLC事件

CAFC No. 23-101 (February 1, 2023)

この事件でCAFCは、被告の求める「事件移送」の可否を判断するにあたり、地裁は判例が定めた諸要素の判断を誤ったとして、テキサス州西部地区からの事件の移送を認めた。

 

原告のJaw 2 oneは関連特許の譲渡を受け、テキサス州に会社の設立登記をした。設立後間もなく、Googleを特許侵害でテキサス州西部地区連邦地裁に訴えた(Jaw 2 one v. Google事件)。Jaw 2 oneはテキサス州でオフィスを借りて特許関連書類や販売関係書類を保存していたが、テキサス州の西部地区には常勤社員を置いていなかった。

Googleはテキサス州地裁に対しモーションを提出し、カリフォルニア州北部地区連邦地裁への移送を求めた。Googleはその理由として(1)被告製品の技術も特許技術もGoogleの本社のあるカリフォルニア州北部地区で開発されたこと、(2)Googleの主要な技術者も特許発明者(6名のうち4名)もカリフォルニア州北部地区に在住するので証人として出廷しやすいこと、(3)テキサス州西部地区には証人となりうる専門家が在住しないこと、を挙げた。しかし、テキサス州地裁はGoogleのモーションを斥け、その理由として、(1)Googleにとって不利な証人が排除され、有利な証人が多くなること、(2)案件の滞貨や司法経済の観点からむしろ移送は好ましくないこと、(3)その他の考慮要素はどちらの法廷がよいかを示していないこと、を挙げた。Googleはモーションを斥ける決定を不服としてCAFCに控訴し、地裁に対する執行命令(mandamus)の発令を求めた。

CAFCはテキサス州地裁の決定を破棄し、移送を認める命令を下した。CAFCはその理由を次のように述べた。移送の可否は地裁の裁量であるが、移送先がより利便性があることを立証した場合には地裁は事件を移送しなければならない。判例によれば、その決定は、私的利害の要素と公的利害の要素を考慮して行われる。私的利害の要素には、(1)証言の得やすさ、(2)証人確保のしやすさ、(3)証人の出頭費用、(4)他の実務的問題があり、公的利害の要素には、(1)滞貨に伴う事務管理の困難、(2)地元で裁判を行うことへの地元の関心、(3)裁判所の熟練度、(4)法の抵触問題の回避がある。地裁はこれらの要素の判断を明らかに誤っている。当法廷に提出された証拠によれば、上記のうち4つの要素は移送を支持しており、4つの要素は中立である。移送を否定する要素は無い。

侵害訴訟が提起されると、「移送」(transfer)のモーションが提起されるのは米国訴訟での被告の常套手段であるので、移送のモーションに対して地裁が考慮すべき要素について詳しく紹介した。テキサス州西部地区連邦地裁はかつての東部地区連邦地裁に代わり、今では特許ビジネスを志向する特許権者の駆け込み寺となっている。