CAFC判決

CAFC判決

Uniloc USA et al 対 Motorola Mobility et al 事件

CAFC, No. 21-1555 (November 4, 2022)

この判決でCAFCは、複数の企業に対する同一特許に基づく複数の侵害訴訟に関し、先発事件の判決確定に基づいて、コラテラル・エストッペルにより、後発事件における原告の出訴権(standing)を否定した。

コラテラル・エストッペルにより原告の出訴権が否定された事件

本件は、Uniloc USA & Uniloc Luxembourg v. Motolora(「モトローラ事件」)およびUniloc 2017 v. Blackboard(「ブラックボード事件」)の2件を併合したものである。モトローラ事件では、Uniloc USA及びUniloc Luxembourg(以下、「原告」という)が、6,161,134特許の侵害容疑でMotorolaをデラウエア州連邦地裁に訴えた。Motorolaは原告がFortress Creditに134特許をライセンスしているので出訴権(standing)がないと主張して訴状の棄却を求めるモーションを提出した。原告は、Fortressに対するライセンスを否定し仮にライセンスされていたとしても出訴権は存在すると主張した。しかし、地裁は、原告の主張を退け、Fortressに対するライセンスにより原告には出訴権がないと認定した。原告はCAFCに控訴した。

ブラックボード事件は、Uniloc 2017が6,324,578特許及び7,069,293特許の2件の特許侵害についてBlackboardを相手取りテキサス州西部地区地裁に訴えたものである。Uniloc 2017は、Uniloc Luxembourg(モトローラ事件の原告)を買収し、本件を訴えた。事案はテキサス州西部地区地裁からデラウエア州地裁に移送されたが、デラウエア州地裁はコラテラル・エストッペルによりMotorola事件を適用して、事物管轄権がないとして事案を棄却した。Uniloc 2017は地裁の棄却判決を不服としてCAFCに控訴した。

MotorolaとBlackboardは控訴審で、Uniloc USAが別件(アップル事件)で敗訴が確定しているので、コラテラル・エストッペルの原則により本件での出訴権はないと主張した。

CAFCは、アップル事件が本件と同じ争点を争うものであることを認め、その主張に同意し、出訴権を否定した地裁判決を支持した。

なお、モトローラ事件で被告が主張したFortressへの特許ライセンスの問題については、CAFCは別件訴訟(グーグル事件)において、2018年5月3日にこのライセンスの解約の合意が成立しているので、その発効後に提起される訴訟においてはUniloc 2017の出訴権が認められると判決している。