クレーム解釈に基づく新規性欠如の主張が適切ではないとしてIPRでの特許無効の主張を退けた判決。CAFCは、原告の提案したクレーム解釈で用いられた用語について解釈を行わなかったことを、原告の主張における「致命的な」不備であると指摘した。
クレーム解釈に基づく新規性欠如の主張が適切ではないとしてIPRでの特許無効の主張を退けた判決
Snyders Heart Valveは、カテーテルで挿入できる人工心臓バルブに関する特許(6,540,782)の特許権者である。この特許は、valve element, frame, bandを発明要素とし、bandはanchorを一定間隔に保持できるようにframeに固着(attached)されている。St. Jude Medicalは2017年10月、同特許に対するIPR2件(IPR-105、IPR-106)を申請した。PTOはIPR開始を決定した。
IPR-105では、Leonhardt発明が引用され、Leonhardtにbandが開示されているかどうかが争われた。Leonhardt発明には、biological valve, valve stent, graft materialの3つの要素から成る人工心臓バルブが開示され、graft materialは低吸水性織布であった。PTABは、Leonhard発明のgraft materialがbandではないと解釈して、St. Judeの新規性欠如の主張を退け、クレームの有効性を認めた。
St. JudeはIPR-105の決定を不服として控訴し、St. JudeとSnydersはIPR-106の決定決定決定を不服として控訴した。IPR-105についてCAFCは、St. Judeの主張を退け、PTABの決定を支持した。その際にCAFCは、St. Judeがbandのクレーム解釈として「strip又はring」を提案し、PTABも認めたにもかかわらず、stripとringの用語についての解釈を行っていない点を、St. Judeの主張における「致命的な」不備であると指摘した。