この事件でCAFCは、IPRの申立人が引用した複数の公知例の組み合わせを考慮せずに対象クレームを有効としたPTABの決定を破棄し、クレームを無効とした。
AAPAと他文献の組合せを考慮せず有効とした判断を覆した事件
Shockwave Medicalは、血管内破砕術(IVL)を用いた動脈硬化症の治療方法に関する特許(8,956,371)の特許権者である。371特許に対し、Cardiovascular Systems, Inc. (CSI)は、複数の公知例の組み合わせにより自明であるとしてIPRを申立て、全クレーム(17項)の無効を主張した。PTABは、クレーム5を除く全てのクレームが自明であるとして無効の決定を下し、自明性が立証されていないとしてクレーム5を有効と決定した。Shockwaveは、クレーム5以外のクレームの無効決定について、出願人が自認した公知例(Applicant Admitted Prior Art 「AAPA」)に依拠したPTABの無効決定は不当であると主張してCAFCに控訴した。CSIもクレーム5の有効決定が他の公知例との組み合わせを考慮しないで判断されたものだとして控訴した。
CAFCは、クレーム1-4とクレーム6-17についてのPTABの無効決定を支持し、PTABがAAPAを一般常識の証拠として考慮したのは適切であり、そのクレーム解釈及び事実認定も実質的な証拠により支持されていると認定した。また、Shockwaveの二次的考慮事項を示す証拠が薄弱であり自明性の証拠に優越するものではないと認定した。
CAFCは、CSIのクレーム5に対する控訴について、PTABのクレーム有効の決定を破棄し、自明を理由に無効と判決した。その理由は、出願人が自認したAAPAは当業者の一般常識からしてUchiyamaと組み合わせられ得ることを考慮しなかったPTABの判断を誤りと認定したことにある。