CAFC判決

CAFC判決

Romag Fasteners, Inc. 対 Fossil Inc. 事件

Supreme Court No. 18-1233,2020,4,23-Apr-20

原告には、商標権の侵害に対する救済を受ける前提としての故意の立証が求められていないことを認めた判決。最高裁は、ランハム法(米国商標法)は、商標権侵害に対する救済として侵害者が受けた利益の返還を受けるために、原告が故意を立証することを要求していないことを明らかにした。

原告には、商標権の侵害に対する救済を受ける前提としての故意の立証が求められていないことを認めた判決

Romag Fasteners, Inc.は皮革製品用のマグネット式スナップ留め具の製造・販売会社で、関連特許と登録商標を所有していた。Fossil, Inc.は、ファッション用アクセサリーの開発・販売会社であり、ハンドバックその他のアクセサリー製品にRomag商標を使用するため、商標ライセンス契約をRomagとの間で2002年に結んだ。Fossilのアクセサリー製品は下請の中国企業により中国で生産されたが、真正のスナップ留め具ではなく、模倣品が代用されていた。また、Fossilが製品の品質管理を適切に行っていなかった。

RomagはFossilを特許侵害、登録商標侵害、虚偽表示でコネチカット州連邦地裁に提訴し、同地裁は被告による特許・商標侵害を認定した。しかし、商標権侵害による損害賠償については、第2巡回区控訴裁判所の判例に従い、原告が故意の侵害を立証していないとして返還を認めなかった。Romagは地裁の判決を不服としてCAFCに控訴し、原告には被告の故意による侵害を立証する責任はないと主張した。しかし、CAFCはその主張を退け、地裁判決を支持した。

Romagは連邦最高裁に上告。最高裁は、商標侵害により被告が得た利益の返還を求める場合の原告の立証要件については控訴裁判所の判断が統一されていないという理由からこの上告を受理し、裁判官全員一致で、ランハム法(米国商標法)は、商標権侵害に対する救済として侵害者が受けた利益の返還を受けるために、原告が故意を立証することを要求していないことを明らかにした。