米国郵政公社は法人格を欠きIPR申請ができないとした判決。最高裁は、政府機関がCBMを申請できる「人」であるとは明確に規定していないという理由から、CAFCの判決を破棄した。
米国郵政公社は法人格を欠きIPR申請ができないとした判決
2011年改正特許法(AIA法)により、特許の有効性見直しのための3つの手続き(当事者系レビュー:IPR、特許付与後レビュー:PGR、ビジネス方法のレビュー:CBM)が導入された。
これらの手続きに関するPTOの決定に不服がある場合はCAFCに控訴できる。
Return Mail, Inc. (RMI)は、住所誤記等により配達不能となった郵便物の処理方法に関する米国特許第6,826,548 号を保有し、2003年に合衆国郵政公社に対し、所有特許のライセンスを申し入れたが、契約にはいたらなかった。
郵政公社は2006年に配達不能郵便物の再配達のための住所変更システムを更新・開始したため、RMIは新たな条件を提示してライセンスを申し入れたが郵政公社はそれに応じることはなく、逆にRMI特許の再審査を申請した。再審査の結果、PTOは特許が有効であると決定した。そこでRMIは郵政公社に対し特許侵害訴訟を提起した。
訴訟係属中に郵政公社は、RMI特許についてのCBMをPTOに申請した。PTOは同特許の無効を決定し、CAFCもその決定を支持した。その際にCAFCは、特許法は政府機関をCBMを申請できる「人」から除外していないと判断した。 RMIはこの判決を不服として連邦最高裁に上告。
連邦最高裁は政府機関の法人格問題についてだけの争点を受理し、CAFCの判決を破棄した。特許法は、政府機関がCBMを申請できる「人」であるとは明確に規定していない、という理由からである。