この事件でCAFCは、クレームは既知の機械学習プロセスを新しい用途または分野に適用したに過ぎず、機械学習技術自体を改良するものではないとして、特許適格性を認めなかった。この事件は、特許明細書の中でAIを採用することにより、人間では到底実行できない特有の技術を採用していること、そしてその技術をクレームで記載し、発明を特定することの重要性を示す。
既存の機械学習手法を単に取り入れただけの発明の特許適格性を否定した事案
米国特許第10,911,811号(’811特許)、第10,958,957号(’957特許)他3件の特許権者のRecentive Analytics, Inc.は、大規模なスポーツ中継を行っているFox Corpを特許権侵害でデラウェア州連邦地方裁判所に訴えた。
これらの特許は、ライブイベントのスケジューリングを最適化し、特定の地域及び間帯において放送事業者がどの番組またはコンテンツを表示するかを決定する「ネットワークマップ」を生成するための、機械学習(機械学習)システムに関するものである。
この特許では、学習システムが入力として与えられた複数のパラメータを分析・評価した後、動的にイベントスケジュールを生成する。一部のクレームでは、過去のライブイベント履歴データを用いて、ユーザ指定のイベントパラメータとイベント特徴との関係を特定するための反復的なモデル学習が含まれていた。
2件の特許は、特に最適化された「ネットワークマップ」を動的に生成し、予定されたライブイベント全体のテレビ視聴率を向上させる。例えばNFLの全試合を通じた全体視聴率、特定の放送事業者における視聴率、特定の視聴者層、または特定の時間帯における視聴率を最大化することが意図されている。
これらの特許に対して、地裁は、放送スケジュールやネットワークマップの作成・最適化)は、本質的には「データの収集、分析、および結果の表示」という情報処理のプロセスに過ぎないと判断した。
また、既存の一般的な機械学習手法を「特定の業界(放送業界)」に適用しただけでは、特許法上の「発明」とは認められないと判断した。なお、この判決に対してRecentiveはCAFCに控訴している。
事案と判決の要点:
CAFCは、クレーム中の機械学習アルゴリズムは周知であり、機械学習技術自体を改良するものではないと認定した。むしろ、既知の機械学習プロセスを新しい用途または分野に適用したに過ぎないと判断した。
特許権者自身も、この特許が「数学的アルゴリズムを改良するものでも、機械学習をより良くするものでもない」ことを認めていた。
またCAFCは、クレームが機械学習技術を実際にどのように改良しているのかを示す具体的なステップを特定していないとした。
CAFCは以前から、「既存技術を新規なデータベースに適用しても、特許適格性は生じない」と判示しており、先例に基づき、ネットワークマップに機械学習を用いることによって特許適格性がでるとの主張を退けた。
この事件からの教訓:
特許明細の中でAIを採用することにより、人間では到底実行できない特有の技術を採用していること、そしてその技術をクレームで記載し、発明を特定することが重要である。
報告者紹介
Mark Montague
Partner, Cowan, Liebowitz & Latman, P.C.
Daniel Basov
Senior Attorney, Cowan, Liebowitz & Latman, P.C.