この事件でCAFCは、連邦地裁がAlice最高裁判例を機械装置の特許に適用して特許適格性を否定したのに対し、逆転判決を下した。
機械装置を抽象的アイデアとする適格性否定判断を覆した事件
PowerBlock Holdingsは、モーターを使ってダンベルの重量板の組み合わせを自動的に調整する方法についての特許(USP 7,578,771)の特許権者であり、iFitを特許侵害でユタ州連邦地裁に提訴した。
iFitは、771特許が特許適格性(特許法101条)を欠くとして特許無効を主張した。連邦地裁は最高裁判例(Alice対CLS Bank事件、2014年)の2段階テスト(=最初にクレーム全体を考慮し、次いで各クレームの個々の要素を考慮する)に鑑みて、771特許は「重さを自動でスタック(積み上げ)する」という抽象的アイデアに向けられたものであり、特許適格性がないとして訴えを却下した。
この判決を受けてPowerBlockはCAFCに控訴した。
クレーム1についてCAFCは、Alice判例のステップ1に沿って判断すれば、クレームを「全体として」考慮し、その全体的な性格が特許対象から除外される主題に向けられているか否かを見極めることを要する。そして、クレーム1は、特定のタイプのダンベル(入れ子式の左右のウェイトプレート、ハンドル、可動式セレクタを備えたもの)に限定されており、さらに「モーターがセレクタに動作可能に接続され、ユーザーが選択した重量に対応する位置にセレクタを物理的に移動させる」ことを明記している 。
したがって、クレーム1はセレクタ式ダンベルに対する「技術的な改善の具体的な実装」に限定されていることを認定し、特許適格性を認めた。
なお、この判決において、CAFCは、特許適格性(101条)の判断と、新規性(102条)、103条(自明性)の判断は論点を混同してはならないことも判示した。クレーム中の構成要素が公知であることを捉え、それを以ってその発明が抽象的アイデアであるとは言えないと説示している。この判決は、この点にも注目すべきである。
以上のように、CAFCは地裁の判決を破棄し、差戻した。