営業秘密保護法を域外適用した判決。地裁は、国内での宣伝広告行為が「国内での行為」であると認定し、DTSAの域外適用を認めた。
営業秘密保護法を域外適用した判決
中国深?に本拠地をおくHyteraが、モトローラのマレーシアオフィスの3名の技術者をヘッドハントし、モトローラの営業秘密とソースコードを含む膨大な技術書類と機密書類を窃取したとして、モトローラはイリノイ北部地区連邦地裁に提訴した。訴状によれば、Hyteraは窃取した情報を使用して、モトローラのデジタルラジオと競合するデジタルラジオを開発し、米国を含む世界市場でそれを販売した。営業秘密窃取の行為地はマレーシアであったが、窃取された営業秘密にもとづき製造された製品が、米国内のトレードショーなどで広告宣伝されたことも訴因とされた。
地裁は、「営業秘密保護法」(DTSA:Defend Trade Secrets Act)の域外適用(extraterritorial application)の条件として、①窃取者が米国人か米国企業である、②窃取後に何らかの行為が米国内で発生した―を考慮し、DTSAの域外適用を認め、国内での宣伝広告行為が「国内での行為」であると認定した。陪審は7億6460万ドルの損害賠償を評決した。この事件は、DTSA法の域外適用を認めた事例である。