この事件で第2巡回控訴裁判所は、原告が写真の著作権問題に精通していることを理由に発生規則に基づいて著作権侵害に関する時効完成を認めた地裁判決は誤りであり、このような原告にもディスカバリー規則が適用されると判断した。
著作権侵害の時効完成時期が争われた事件
Michael Grecco Productions (MGP)は、Allyn Davisとその関連会社(Davis)を著作権侵害によりニューヨーク南部地区連邦地裁に訴えた。MGPは、写真業界では著作権の侵害問題に精通したスタジオとして著名で、そのことは訴状でも強調されていた。
地裁は、侵害の発生時点から時効を起算する「発生規則」(injury rule)に基づいて、MGPの訴訟提起が侵害発生から3年後であるから、著作権法の時効にあたるとして訴えを棄却した。地裁は、「(著作権)訴訟に精通した原告」(sophisticated plaintiff)であれば時効が切れる前に訴訟提起できたはずであるという理由で、侵害を発見した時点から時効を計算する「ディスカバリー規則」を適用しなかった。原告はこの判決を不服として第2巡回区控訴裁に控訴した。
控訴審は、地裁が本件にディスカバリー規則を正しく適用しなかったことは誤りであるとしてその判断を破棄した。ディスカバリー規則に基づく時効は、原告の知識や経験とは無関係に著作権侵害を発見した時から起算される。著作権訴訟に精通した原告を例外的に扱う規定はない、と述べた。
本件は、著作権訴訟で‘sophisticated plaintiff’という概念が議論された珍しい事案である。