CAFC判決

CAFC判決

IQRIS Technologies LLC 対 Point Blank Enterprises, Inc. NC事件

CAFC, No. 23-2062 (March 7, 2025)

この事件でCAFCは、クレーム中の文言解釈に当たり、明細書の記載を踏まえクレーム中の文言を狭く解釈した地裁の認定を否定し、文言解釈は明細書の記載ではなく、クレームの記載に基づき行われるべきであるとした。

IQRIS Technologies は軍人が着用する防弾ベストの簡易脱衣装置に関する2件の特許(7,814,567と8,256,020:両特許は、同一の明細書記載と図面を共有する)の特許権者である。IQRISは、Point Blank Enterprisesを相手取り、両特許の侵害訴訟をフロリダ南部地区連邦地裁に提起した。Point Blankは、被疑製品には特許クレームに記載された発明の構成要件であるpull cord(脱衣時に引っ張るコード)に対応する部材が含まれていないとして、非侵害の略式判決を求めるモーションを申請した。

地裁は、クレームに記載されたpull cordを、「着衣者が直接引っ張ることで留め具またはフックを外して脱衣できるコード」と解釈し、被疑製品の構造は直接引っ張るものでないと認定した。また、文言上、被疑製品のハンドルは特許クレームのcordではないので文言上の侵害はないと判決し、さらに、それらは均等論上の対応関係にもないとして均等論上の侵害もないと判決した。IQRISはこの判決を不服としてCAFCに控訴した。

CAFCは、地裁がpull cordを「着衣者が直接引っ張ることで留め具またはフックを外して脱衣できるコード」と解釈してハンドルの付いた部材をcordの対象から除外したのは不当に狭い解釈であるとして、地裁判決を破棄・差し戻した。クレームの文言からそのような狭い解釈は支持されないとの意見を付け、正しいクレーム解釈に沿って審理をやり直すよう事案を地裁に差し戻した。