CAFC判決

CAFC判決

Immunex Corp., Hoffmann-La Roche et al. 対 Sandoz, Inc. et al. 事件

CAFC No. 2020-1037,2020,1,1-Jul-20

自明型ダブルパテントの判断において、特許を保有しているか否かは、出願手続きを遂行(コントロール)する権利が移転しているか否かを考慮して判断するとした判決。CAFCは、自身の特許に加えて他の特許をも一緒に保有しているかどうかを判断する際、特許の「全ての実質的な権利」(all substantial rights)を有しているかという基準が役に立つこと、ただしその適用は出願手続きをコントロールする権利が移転している場合に限定されることを明らかにした。

自明型ダブルパテントの判断において、特許を保有しているか否かは、出願手続きを遂行(コントロール)する権利が移転しているか否かを考慮して判断するとした判決

Rocheは、関節リウマチの治療薬Etanerceptおよびその製法に関する特許(8,063, 182 & 8,163,522)を保有する。Etanerceptは、Immunexの‘Enbrel’生物製剤の有効成分である。Rocheは両特許のファミリー特許について契約を結び、独占的ライセンスと関連特許出願の権利化を行う権利をImmunexに許諾した。ImmunexはAmgenに同特許のサブライセンスを許諾した。

Sandoz等は、‘Enbrel’生物製剤のバイオシミラーである‘Erelzi’の販売承認を求め簡略生物学的製剤承認申請(aBLA)を提出した。そのため、ImmunexはSandoz等を特許侵害で地裁に提訴した。訴訟において、Sandozは、Roche所有の特許ではなく、Immunex所有の特許に対するダブルパテントを理由とする特許無効を主張した。地裁がSandozの主張を退けたため、SandozはCAFCに控訴した。

ダブルパテントは、同じ権利者が保有している(common ownership)特許の間で発生する。本件では、Immunexが、自身の特許に加えて、上記のRoche特許をも一緒に保有しているかどうかを判断する際、特許の「全ての実質的な権利」(all substantial rights)を有しているかという基準を適用すべきかどうかが争われた。CAFCは、自明型のダブルパテントの判断にあたっては同基準が役に立つこと、ただしその適用は出願手続きをコントロールする権利が移転している場合に限定されることを明らかにした。本件の場合、Immunexが行わない場合にはRocheが侵害訴訟を起こせるなどの理由で、「全ての実質的な権利」が契約でImmunexに移転した訳ではないと判断されたことが、Sandozの主張を退ける理由となった。