併合したIPRの場合には、自身が申請したIPRの対象でないクレームについての決定に対しても控訴することができるとした判決。CAFCは、併合後は1件のIPRとして再審理すべきであり、その決定は両当事者を同等に拘束するので控訴は可能と判断した。
併合したIPRの場合には、自身が申請したIPRの対象でないクレームについての決定に対しても控訴することができるとした判決
Valencellは、血中酸素や心拍数などの体内生理データの出力方法および装置に関する特許(8,923,941)を保有する。訴外Appleは同特許の全クレーム(1~13)のIPRを申請した。Fitbitも同特許のクレーム1~2,クレーム6~13についてのIPRを申請し、Appleが申請したIPRとの併合(joinder)を申し立てた。PTABはこの申立てを認め、Fitbitが申請したIPRとAppleが申請したIPRを併合することを決定した。
PTABはIPR申請のあったクレームのうち、クレーム3~5についてはIPRを開始しないことを決定した。決定が出される前に、SAS Institute, Inc. v. Iancu事件最高裁判決(2018)(=IPRは申請されたすべてのクレームを対象に行わなければならない)があり、PTABはクレーム3~5を含めて審理をやり直し、クレーム3~5が有効、クレーム1~2、クレーム6~13が無効であると決定した。Appleはこの決定を受け入れたが、Fitbitは、クレーム3~5についての決定を不服としてCAFCに控訴した。
CAFCは、Fitbitの控訴を認め、PTABの特許有効の決定が誤りであると判決した。IPR申請をしていないクレーム3~5についての控訴をFitbitは行うことはできないとValencellが主張したのに対し、CAFCは、併合後はクレーム3~5を含む1件のIPRとして再審理すべきであり、その決定は両当事者を同等に拘束するので控訴は可能と判断した。一方、特許性に関してPTABがApplication-specific interface (API)を狭く解釈したので、クレーム3の新規性の問題はクリアされている。しかし、クレーム4と5については、従属関係についての誤記があり、その誤記がPTABでの手続きで訂正されないまま再審理されているとして、PTABの決定を破棄し、差し戻した。