CAFC判決

CAFC判決

Dynamic Drinkware, LLC 対 National Graphics, Inc. 事件

No. 2015-1214,2015,11,Fed. Cir. September 2, 2015

仮出願日が有効な基準日となるための立証要件と、当事者系再審査手続きにおける立証責任の転換を論じた判決,この判決においてCAFCは、当事者系再審査請求における先行技術特許の基準日を仮出願日に基づいて主張する場合、仮出願時の開示内容が特許クレームをサポートしていることを立証する義務が申立て側にあることを明らかにした。また、当事者系再審査手続きにおける証拠提出責任は、両者の間で転換することを示した。

仮出願日が有効な基準日となるための立証要件と、当事者系再審査手続きにおける立証責任の転換を論じた判決

ナショナル・グラフィックス(National Graphics, LLC)は、表面にレンチキュラー画像を施した表面の成形品に関する米国特許第6,635,196号(196特許)の特許権者である。

ダイナミック(Dynamic Drinkware, LLC)は196特許の当事者系再審査を米国特許商標庁(PTO)へ申請し、196特許は米国特許第7,153,555号(レイモンド特許)により新規性がないと主張した。

米国特許審判部(PTAB)は、レイモンド特許により196特許の新規性がない証拠の優越をダイナミックが立証しなかったと判断した。ダイナミックは控訴した。

控訴審において、ダイナミックはPTABの決定に反論する2つの主張を提示した。第一に、レイモンド特許の仮出願日をダイナミックに対して主張する権利があることの立証義務をPTABが要求したことは不適切であると主張した。第二に、レイモンド特許のクレームをサポートする記述が仮出願時の記述に含まれていたことを立証する十分な証拠があると主張した。

CAFCはダイナミックの2つの主張を却下し、PTABの決定を支持した。まず始めに、CAFCは当事者系再審査における立証責任と証拠提出責任の相違点について分析した。当事者系再審査手続きの申請者には、証拠の優越により特許の無効を立証する立証責任があり、この義務は決して特許権者に転換することはない。しかしながら、証拠提出責任はダイナミックと特許権者の間で転換すると説明した。

CAFCは、提示された争点においてダイナミックには、レイモンド特許が196特許に先行するという主張における最初の証拠提出責任があったと述べた。この立証義務が果たされれば証拠提出責任は、実施日に基づき196特許にはレイモンド特許より早い出願日の権利があると主張するナショナル・グラフィックスに転換する。

CAFCは、レイモンド特許が仮出願日に遡って権利主張できることを立証することによって、196特許の実施日よりもレイモンド特許の優先日の方が早いことを示す証拠提出責任がダイナミックにあると説明した。

もし証拠提出責任がダイナミックへ転換しなかったならば、仮出願がPTOで審査されないにも拘わらず仮出願日の権利が特許に与えられることは道理に合わない推定を生ずるとCAFCは判断した。

次にCAFCは、仮出願の時点でレイモンド特許が有効な先行技術であったことを立証する十分な証拠をダイナミックが提出したか否かを審理した。

再審査の申請書および答弁書において、ダイナミックはレイモンド特許とその仮出願を196特許と比較し、ナショナル・グラフィックスは、ダイナミックがレイモンド特許のクレームと仮出願とを比較していなかったことから、PTABの決定には実質的証拠による裏付けがあると主張した。

CAFCは、ダイナミックがレイモンド特許のクレームとその仮出願を比較しなかったことは致命的であることを認め、引用特許はその特許クレームに仮出願時の開示内容によるサポートがある場合のみ仮出願日の権利を与えられると述べて、ダイナミックはレイモンド特許クレームに対する仮出願のサポート部分を示さなかったと説明した。

ダイナミックは証拠を提出しなかったので、レイモンド特許に先の優先日の権利があることを立証する義務を果たさなかったとCAFCは判断した。したがってCAFCは、レイモンド特許は196特許に先行しないというPTABの決定を支持した。

この事件は、特許無効を主張する者が特許クレームに仮出願の記述によるサポートがあることを立証した場合のみ、仮出願日を優先日とする先行技術の主張が可能であることを規定した最初のCAFC判決であると思われる。判決はまた、当事者系再審査手続きにおいて適用される立証責任の転換に関するフレームワークを示した。

Key Point?この判決においてCAFCは、当事者系再審査請求における先行技術特許の基準日を仮出願日に基づいて主張する場合、仮出願時の開示内容が特許クレームをサポートしていることを立証する義務が申立て側にあることを明らかにした。また、当事者系再審査手続きにおける証拠提出責任は、両者の間で転換することを示した。