CAFC判決

CAFC判決

C.W. Zumbiel Company, Inc. 対 Kappos 事件

Nos. 2011-1332,1333,2013,3,27-Dec-12

CAFCは自明性の判断で審判部の決定に従う傾向があることを示した判決,この判決は、CAFCが自明性の判断において審判部の審決に従う傾向にあることを示している。缶を運ぶためのカートン等のシンプルな技術に関するケースでも、CAFCは審判部の事実認定を疑うことに躊躇する場合がある。

CAFCは自明性の判断で審判部の決定に従う傾向があることを示した判決

CAFCは、米国特許第6,715,639号(639特許)に関する当事者系再審査手続に対する、第三者ザムビル(Zumbiel)の上訴、及び譲受人グラフィック・パッケージング・インターナショナル(Graphic Packaging International、「グラフィック」)の交差上訴を扱い、審判部の自明性及び非自明性に関する判断を支持した。

639特許は、缶やビンなどの容器を入れるカートンまたは箱に関するものである。先行文献は4件あり、①切り取り線により取り外し可能なディスペンサー付の缶用カートンを開示する米国特許第3,178,242号(”Ellis”「エリス」)と、②指でディスペンサーを開けるためのフラップ付の容器用カートンを開示するドイツ特許第G85 14718.4(「G718特許」)と、③切り取り線を有する平たいボール紙からなる箱を開示する米国特許第5,372,299号(”Edgerton”「エッジャートン」)と、④缶詰製品を片手で運ぶことを可能にするパッケージを開示する米国特許第3,718,301号(”Palmer”「パーマー」)の4件である。

まず、審判部は、639特許のクレームの一部は、G718特許を考慮し、エリスに基づいて自明であり、特許性がないと認定した。例えば、639特許のあるクレームは、「指でディスペンサーを、切り取り線に沿って開けるための、天板を渡る切り取り線の部分の上に配置されたフラップ」を開示する。交差上訴では、グラフィックは、エリスとG718特許の、カートンを開ける方法がそれぞれ異なるため、G718特許は、エリスのカートンの天板にフラップを設けることを教示しないと主張した。すなわち、G718特許を考慮して、エリスは、フラップをカートンの天板に配置することを教示しているか否かが争点となった。

控訴審においてCAFCは、審判部の決定は、実質的な証拠によって裏付けされていると認定し、これを支持し、指を入れるための穴をカートンの天板に配置することは、使用者の便宜性を考えた観点からは予測可能な変形であり、当業者の技術の範囲内であると認定した。

ザムビルは、639特許のクレームの一部を自明ではないとした審判部の認定とクレームのプリアンブル(クレームの前提部分)の文言に関する審判部の解釈に関して控訴した。

例えば、クレーム2は、「最上列の第1と第2の容器の間にフラップが配置されている」カートンを規定する。第1と第2の缶の間の位置にフラップを設けることが、先行技術を考慮した上で自明であるか否かが争点であった。

ザムビルは、パーマーが缶に妨げられることなくカートンに指を挿入する方法を開示していると主張した。なお、パーマーによる開口部は、カートンを運ぶためのものでありながら、カートンの中の缶の取り出しにも適応し得ることも主張した。審判部は、パーマーの開示にはカートンのディスペンサーの特徴に関連する十分な裏付けがないと認定した。

控訴審においてCAFCは、実質的証拠がこの非自明性の認定を裏付けていると判示した。パーマーはディスペンサーを開示しておらず、エリスによる切り取り線を別の位置へ動かすことも十分に教示していないとCAFCは判断した。さらにCAFCは、エリスは切り取り線を缶の直径の半分以上直径未満の距離に配置すべきであると述べているので、第1と第2の容器の間に切り取り線を設けることは教示していないようであると見解を述べた。

ザムビルは、また、クレームの特許性を判断する際にプリアンブルの文言「容器」の解釈に誤りがあると主張した。ザムビルは、「容器」という文言はクレームのボディ(クレームの特徴部分)に規定されていないので、クレームを限定するものとして解釈してはならないと強く主張した。

CAFCは、長い間、プリアンブルが、先行詞として用いられている場合やボディの文言を理解する上で重要である場合は、クレームを限定するという立場をとってきた。CAFCは、639特許のクレームのボディには「容器」が規定されており、かつ、プリアンブルにおける文言「複数の容器」が先行詞としてボディにおいて利用されているとした。そこで、CAFCは、プリアンブルにおける文言「容器」はクレームを限定すると判断した。

一方、プロスト判事は、自明性の原則は、「このような低質特許を除去するために利用するべきだ」と反対意見を述べた。そして審判部のアプローチは、KSR International Co. 対Teleflex Inc.事件 550 U.S. 398 (2007)における最高裁判所の説示に反していると主張した。

プロスト判事は、非自明と判断されたクレームの発明は、エリスに開示されたものを単純に変形したものであり、審判部や合議体の過半数は、実践的及び常識的な考慮をせずに先行技術の教示の重要性を過度に重視していると主張した。

Key Point?この判決は、CAFCが自明性の判断において審判部の審決に従う傾向にあることを示している。缶を運ぶためのカートン等のシンプルな技術に関するケースでも、CAFCは審判部の事実認定を疑うことに躊躇する場合がある。