CAFC判決

CAFC判決

Antares Pharma, Inc. 対 Medac Pharma Inc., 事件

Nos. 14-1648,2015,1,17-Nov-14

再発行特許に必要な原特許要件を論じた判決,この事件でCAFCは、米国特許法第251条に基づき、再発行特許のクレームは「原特許」要件を満たさないことを理由に無効であると判断した。「原特許」の要件を満たすためには、再発行特許における新たな、または訂正クレームの発明が、原特許明細書に明白かつ明解に記載されていなければならないことを明らかにした。

再発行特許に必要な原特許要件を論じた判決

アンタレス(Antares Pharma, Inc.)は、「ニードル支援式ジェット注入器」という名称の、米国特許第7,776,015号(015特許)を所有する。015特許は、針が皮膚を穿刺して薬剤を強制的に注射する、薬剤を注射するシステムに関する。

015特許の審査中に特許権者は、発明は「ジェット注射」器具を用いる点で先行技術とは異なることを繰り返し主張した。

015特許の登録日から2年経過する少し前に、アンタレスは、米国特許法第251条に基づき再発行特許出願を提出した。第251条は、登録されたクレームの範囲を拡大または減縮することで、登録された特許を訂正することを可能にする。

米国特許商標庁(PTO)は、015特許のクレームと新しいクレーム15項を含む再発行特許RE44、846(846特許)を付与した。

015特許のクレームと異なり、再発行特許のクレームは、「ジェット注射」器具に限定しない実施例もカバー、さらに、再発行特許のクレームは、ラッチ、プッシュボタン、及びニードルガードといった安全機能の特定の組み合わせをカバーした。

アンタレスは、メダック(Medac Pharma, Inc.及びMedac GmbH)に対して846特許の侵害を主張し、提訴した。具体的には、アンタレスは、メダックの特定の医薬注射デバイスが846特許の特定のクレームを侵害していることを主張し、メダックのデバイスの販売を停止させるために、仮差止命令を請求したのである。

それに対してメダックは、846特許のクレームは、第251条の「原特許」要件を満たしていないことを理由に一部無効であると主張し反訴した。地方裁判所は、アンタレスの仮差止の申立てを却下し、アンタレスは本案の義務を果たしていないおそれがあると事実認定した。

控訴審において、CAFCは地裁判決を支持し、846特許のクレームは、第251条の「原特許」要件を満たしていないために無効であると判示した。

CAFCはまず、1942年の最高裁判決、U.S. Industrial Chemicals, Inc.対Carbide & Carbon Chemicals Corp.事件を参照し、この要件に関する特許法の文言は、1952年に変更されたと述べた。

1952年法改正の前は、PTOは、「同じ発明に対する特許を再発行する」ことが可能であった。現行法では、PTOは、「原特許に開示された発明に対して特許を再発行する」ことができると記載している。しかし、最高裁とCAFCの判例を検討したところ、CAFCは、1952年の改正法は、この要件の意味及び範囲を変更していなかったと判断した。

最高裁の先例によると、特許明細書はクレームの発明を完全に記載する必要があり、原明細書が再発行特許のクレーム中の発明を提案または示唆するだけではこの要件は満たされない。

CAFCは、明細書を読んだ当業者が(再発行特許の)新クレームの主題を、特許権者によって発明され開示されたものとして認識するかどうかを審理した。この基準を適用し、CAFCは、846特許の再発行特許クレームは無効であると判断した。

原明細書を検討したCAFCは、015特許はある特定の「ジェット注射器」一種類のみについて記載していると判断した。さらにCAFCは、発明の名称、要約、発明の概要、及び明細書やクレームにおける、ジェット注射器を発明とする繰り返しの記載は全て、発明の範囲を強く示唆しているとの見解を示した。

安全機能も明細書に記載されていたが、CAFCは、それは単独での説明はされておらず、また、十分に発明として説明されていないために、再発行特許のクレームが原明細書に明白にかつ明解に開示されているという認定の裏付けにはならないと判断した。

CAFCは、特許権者が適切にはっきりと明細書に開示されている再発行クレームを追加して、特許クレームを拡大した先例を挙げて、本事件と対比した。本件においては、このようなはっきりとした開示が015特許に無いため、CAFCは、「原特許」要件を満たしていない理由に、本件対象の846特許の再発行クレームを無効にした。

この判決は、「原特許」要件が特定の再発行特許に対する強力な抗弁となる可能性を示した。さらに、「原特許」要件は、「権利回復禁止」の抗弁とは別に再発行特許の無効抗弁の可能性も示した。

CAFCによる「原特許」要件の解釈下では、再発行特許における新規または訂正クレームは、原明細書に明白かつ明解な新たにクレームした発明の開示が無い場合には、「原特許」要件を満たさないことを理由に無効となる可能性がある。

Key Point?この事件でCAFCは、米国特許法第251条に基づき、再発行特許のクレームは「原特許」要件を満たさないことを理由に無効であると判断した。「原特許」の要件を満たすためには、再発行特許における新たな、または訂正クレームの発明が、原特許明細書に明白かつ明解に記載されていなければならないことを明らかにした。