CAFCは、同一の親出願からの分割特許の2件の侵害訴訟で、一方の審査時のディスクレーマーを他方の文言の違う分割特許の文言解釈に適用した地裁の非侵害判決に誤りがあるとして、その判決を破棄・差し戻した。
Maquet Cardiovascular は患者の血管の所定の場所に血液ポンプを配置するためのシステムに関する特許(10,238,783)の特許権者である。この特許は、USSN 60 / 152 , 249(1990年9月3日出願)を親出願として分割を繰り返して認められた。関連する別の分割特許が9,789,238特許である。両特許は明細書の記載と図面を共有している。238特許のクレームは、審査官のアドバイスにもとづきディスクレーマーによる減縮補正がなされていた。
Marquetは、Abiomed Inc.とその系列会社を783特許と238特許の侵害容疑でマサチューセッツ連邦地裁に訴えた。地裁は、783特許のクレーム中の”guide mechanism comprising a lumen”の解釈にあたり、238特許の減縮補正を適用して解釈するよう当事者に命じた。地裁の文言解釈の下では特許侵害は生じないとして、両当事者はAbiomed非侵害の認定に同意し、地裁は非侵害の判決を下した。しかし、Maquetは、783特許の非侵害判決についてCAFCに控訴し、再審を求めた。
CAFCは、地裁による783特許の非侵害判決を破棄し、事案を地裁に差し戻した。その理由をCAFCは次のように説明した。783特許と238特許ではクレームで使用された文言が相違するにも拘わらず、地裁が238特許の審査時のディスクレーマーを適用して783特許のクレーム1の”guide mechanism comprising a lumen”を解釈したことは誤りであると判示した。