CAFC判決

CAFC判決

Cardinal Motors, Inc. 対 H & H Sports Prot. USA Inc.事件

2nd Circuit, No. 23-7586 (February 6, 2025)

この事件で控訴裁は、トレードドレス侵害の訴状の記載要件に関する判決で、訴状はトレードドレスの記載で足り、顕著性の言及は不要であること示した。

Cardinal Motors Inc (CMI)は、特徴的なデザインをもつバイク用のヘルメット”The Bullitt”のメーカーで、米国最大手のヘルメットメーカーのBell Sportsがその許諾を受けてライセンス生産していた。H&H Sports Protection USA Inc.がThe Bullittヘルメットに似た製品を無断製造・販売している嫌疑でランハム法に基づくトレードドレス侵害と不公正競争法違反に対する救済をニューヨーク州南部地区地裁に求めた。しかし、地裁はトレードドレス侵害請求の訴状に瑕疵があるとしてCMIの訴えを棄却した。

CMIは、訴状の瑕疵を補うために「全体的なトレードドレス」(General Trade Dress)と「個別的なトレードドレス」(Detailed Trade Dress)の二つの理論でThe Bullittヘルメットのトレードドレスに説明を加え、さらに州の不公正競争法違反の請求も追加した修正訴状を提出した。地裁は、ヘルメットの顕著性(distinctiveness)についての説明が「全体的なトレードドレス」の中になく、「個別的なトレードドレス」の説明と「全体的なトレードドレス」の説明との間に実質的な差異はない、という理由からCMIの修正訴状を棄却した。CMIは第2巡回区控訴裁判所に控訴した。

控訴審は、地裁がトレードドレス侵害要件の適用を誤ったとしてその判決を破棄・差戻した。控訴審はその理由を次のように述べ、訴えを地裁に差し戻した。

判例により、製品デザインにトレードドレスが認められるための3つの要件がある。それらは、①デザインの顕著性、②被疑製品による誤認混同の可能性、③ 当該製品が機能的かどうかである。

これらの要素は、トレードドレスの特徴が訴状にトレードドレスの特徴が正確に記述されているかどうか(articulation requirements)とは異なる。訴状の受理の判断のためにはトレードドレスの特徴が正確に記載されていれば足りる。その段階では顕著性の立証は必要ない。

CMIのトレードドレスの訴状はこれらの要件を充足しているので、地裁は、顕著性、誤認混同の可能性、非機能性の要素の有無を改めて審理しなければならない。また、州法に基づく不公正競争違反についても判断しなければならない。