CAFC判決

CAFC判決

Wildhawk Investments 対 Brava I.P.事件

8th Circuit, No. 21-2496,2022,2,23-Feb-22

契約違反の立証機会があったにも関わらず、製造開始から10ヶ月後に救済請求を行うのは、懈怠を理由に衡平法上の「エストッペル」に該当し、その請求を否定した。

BoorとEdsonは、屋根用合成タイル(composite roofing)に関する特許やノウハウを保有し、Brava Tech社を通じて製造したタイル製品を‘Brava Roof Tiles’ブランドで販売した。Wildhawkは、Brava Techにタイル製品の購入を打診したところ、「製造のための独占ライセンス」に応じるとの回答があった。独占ライセンスには「改良発明や新製品についてはWildhawkが最初の拒否権をもつ」との条件が付いていた。両当事者は2015年11月、タイル製品の購入契約と特許ノウハウのライセンス契約を締結した。Wildhawkは、その対価として400万ドルを支払った。ライセンス契約は「将来の改良物」にも適用された。契約後、Wildhawkのタイル製品の売上げが上昇し、売上げは4年で契約前の13倍に増大した。そのため、Brava Techの創始者であるBoorと非競合契約を結んで彼をコンサルタントにした。

Boorは2016年8月、Wildhawkの新しいタイル製品、Platinum Tileに拒否権を発動することを通知した。新製品のデザインは、Boorが開発中のNatura タイルに似ていた。両当事者は協議をして、将来のR&Dと新製品についてのWildhawkの第一拒否権を認め、2017年5月に「非開示契約」(NDA)を結んだ。NDAは、これまでの口頭合意にも遡及的に適用され、守秘義務に違反した場合にNDA違反になる旨の規定が盛り込まれた。

Boorは2019年1月、Wildhawkのコンサルタントの身分でありながら、新製品Naturaタイルの製造販売会社Paragonを設立し、新製品の製造に着手した。Wildhawkは、Paragonに対する予備的差止めを求めて地裁に提訴し、地裁はそれを認めた。Boorは、地裁の差止命令を不服として第8巡回区控訴裁に控訴。

控訴裁は地裁の判決を破棄し、破棄理由を次のように説明した。Wildhawkは、Boorによる契約違反を立証する機会があったにも関わらず、それを行なわず、製造開始から10ヶ月経ってようやく救済の請求を申し立てた。そのような請求は懈怠であり、請求は衡平法上の「エストッペル」を構成する。衡平法上の「エストッペル」を見逃し、差止を認めた地裁の過ちを第8巡回控訴裁判所は指摘した。