CAFC判決

CAFC判決

Virtek Vision International ULC 対 Assembly Guidance Systems, Inc. 事件

CAFC, No. 2022-1998 (March 27, 2024)

IPRにおいて、複数の先行文献を組み合わせて無効理由を主張する場合、単に、複数の先行文献に開示されているというだけでは実質的な証拠とはならず、それらの組み合わせを当業者に動機付けることを立証する「実施的な」証拠が必要となる。本件では、そのための実質的証拠で立証されていないとされた。

複数の先行文献を組み合わせる動機付けがあったことを示す証拠がないとして、PTABの無効決定が破棄された事例

Virtek Vision International ULC(以下「Virtek」)は、3次元対象物へのレーザプロジェクタ照射方法に関する特許10,052,734(以下「734特許」)を保有する。Assembly Guidance Systems, Inc, d/b/a Aligned Vision(以下「Aligned Vision」)は、734特許クレーム(全13)に対してIPRを申請した。クレーム1, 2, 5, 7, 10-13は、「無効理由I」(KeitlerとBriggsの組み合わせ)及び「無効理由III」(BriggsとBridgesの組み合わせ)により自明であると主張した。また、クレーム3-6, 8-12は、「無効理由II」(Keitler, Briggs, 及び’094 Ruebの組み合わせ)及び「無効理由IV」(Briggs, Bridges,及び’094 Ruebの組み合わせ)により自明であると主張した。

また、当業者に先行文献の組み合わせを動機付ける証拠として、Aligned Visionの専門家(Dr. Mohazzab)の供述書も提出した。IPRの結果、PTABは、734特許のクレーム1, 2, 5, 7, 10-13を無効と決定した。Virtekはクレーム無効決定に対してCAFCに控訴し、Aligned Visonはクレーム3, 4, 6, 8, 9の無効でないとした決定に対して、CAFCに反対控訴した。

CAFCは、クレーム無効決定を破棄・差戻し、その理由を次のように述べた。PTABは、先行文献を組み合わせた無効理由を根拠にしてクレームの無効を決定したが、無効理由を構成する先行文献の組み合わせについて、Aligned Visonは、なぜ当業者が組み合わせるかの動機付けについて立証していない。単に、複数の先行文献に開示されているというだけでは実質的な証拠とはならず、それらの組み合わせを当業者に動機付けることを立証する「実施的な」証拠が必要となる。本件では、そのための実質的証拠で立証されていない。

IPRにおいて、「無効理由II」(Keitler, Briggs及び’094 Ruebの組み合わせ)と「無効理由IV」(Briggs, Bridges及び’094 Ruebの組み合わせ)に基づくクレーム無効の主張が認められなかった。その理由をPTABは、’094 Rueb文献と他の文献の組み合わせの動機が立証されていないためであると説明した。Aligned VisionはIPRにおいても控訴審においても、組み合わせについては一切主張をしておらず、単に先行文献から自明であるという主張で終始している。唯一の例外が、Dr. Mohazzabの供述書であるが、そこでも当業者が組み合わせを動機付けられる合理的な理由が述べられていない。