他の請求人と同じ公知例に基づく請求であったことを理由にIPRを開始しなかった事例。PTABは、①同一申請人が既に同一特許クレームに対して申請していたか、②申請人が先の申請時に後の申請の引例を知っていたか、③後の請求時に申請人は先の申請に対する特許権者の応答を受け取っていたか、④後の申請の引例を知ってから申請を出すまでの期間、⑤同一特許クレームに向けた先の申請と後の申請の時間の経過について適切な説明がなされているか、⑥PTABが保有する公知資料が有限であること、⑦IPR開始から1年以内に結論を出さなければならないこと―を考慮し、IPRを開始しないと決定した。
他の請求人と同じ公知例に基づく請求であったことを理由にIPRを開始しなかった事例
Electric Scripting Products (ESP)は、USP5,235,934の特許権者であり、HTC Corp.とValve が同特許を侵害するとして連邦地裁に訴えた。Valveが裁判管轄を問題とするモーションを提起したため、ESPはValveを被告から除外した。一方、HTCはIPRを申請して、ESPに対抗した。PTOは申請のあったIPR開始を行わない決定をくだした。
IPRを開始しないとの決定後、Valveは、単独でESP特許のIPRを申請した。ValveによるIPR申請は、HTCがIPR申請で引用した公知例と同じ公知例を引用して行われた。PTABは、同一内容のIPR申請を拒否した別件(General Plastic Industrial Co., Ltd. v. Canon Kabushiki Kaisha事件(2017年))で考慮された7項目を参考に本件を検討した。前例で考慮された7項目とは、①同一申請人が既に同一特許クレームに対して申請していたか、②申請人が先の申請時に後の申請の引例を知っていたか、③後の請求時に申請人は先の申請に対する特許権者の応答を受け取っていたか、④後の申請の引例を知ってから申請を出すまでの期間、⑤同一特許クレームに向けた先の申請と後の申請の時間の経過について適切な説明がなされているか、⑥PTABが保有する公知資料が有限であること、⑦IPR開始から1年以内に結論を出さなければならないこと―である。PTABは、Valveが申請したIPRを開始しないと決定した。