CAFC判決

CAFC判決

University of California 対 University of Iowa Research Foundation事件

No. 2006 U.S. App. LEXIS 17927,2006,12,Fed. Cir. 2006

本件において、CAFCは、特許とその特許の発行から1年以上経過した後に提出された特許出願の新たなクレームとの間のインターフェアレンスは、その特許と特許出願との間に前述の1年間の「基準日」以前から既にインターフェアレンスの関係があり、かつ、新規クレームが、特許出願のクレームと重要な相違が無いならば、宣言できると判決しました。

特許発行から1年の基準日以後に特許出願に追加されたクレームのインターフェアレンスにおける取り扱いに関する事件

本件においてCAFCは、特許とその特許発行の1年以上後に提出された特許出願の新クレームとの間のインターフェアレンスは、その特許と特許出願が、前述の1年間という「基準日」以前から既にインターフェアレンスの関係にあり、また、特許出願の新クレームが、その基準日以前のインターフェアレンスに関係していた特許出願のクレームとの間に重要な相違が無い場合のみ、米国特許商標庁(以下、PTO)は宣言できるものである、と判示したPTOの特許抵触審判部(以下、Board)の決定を支持した。

もし出願の新クレームに重要な相違がある場合には、その出願クレームはインターフェアレンスには利用することができない。

本件は、University of Iowa Research Foundation、Coley Pharmaceuticval Group, Inc.、及び米国政府(合わせて以下、Iowa)が所有する米国特許第6,207,646号(以下、646特許)に関する事件である。2001年3月27日に646特許が発行された時、California大学(以下、California)の教授の特許出願第09/265,191号(以下、191特許出願)は審査中であった。646特許付与の7ヵ月後、Californiaは、191特許出願に3つの新たなクレームを追加し、これらのクレームに基づき646特許のインターフェアレンスを申し立てた。

PTOは3つのクレームを拒絶し、Californiaは審査手続を継続した。646特許の付与から1年以上経過した2002年5月9日、Californiaはクレームを1つ追加した。PTOは646特許とCaliforniaの新たなクレームとの間のインターフェアレンスを宣言した。

インターフェアレンスは、2人以上の発明者が、重複する発明の主題をカバーするクレームを提示した際に生じる。インターフェアレンスが発生すると、発明者は特許を取得するために自らの発明が他者の発明よりも先行している事実を示さなければならない。

インターフェアレンスの宣言に対し、Iowaは、米国特許法第135条(b)(1)に基づき、Californiaの新たなクレームは特許付与できない、との申立を提出した。米国特許法第135条(b)(1)には次のように記されている。

既発効の特許中のクレームと同一、または技術内容が同一もしくは実質的に同一なクレームに関しては、その特許が付与された日から1年以内に提出されていない限り、かかるクレームを出願に含ませることはできない。

Boardは、第135条(b)(1)は基本的に、特許の発効日から1年以内に加えられた特許出願クレームのみが、インターフェアレンス手続の対象となることを記している、と述べた。

Californiaは、3つの先行出願クレームは基準日よりも前にインターフェアレンスの手続に入っており、したがって、Iowaは後から提出したクレームの潜在的インターフェアレンスに十分気付いていたはずであることを理由に、新たなクレームがインターフェアレンスを否定されるのは不当であると主張した。

Californiaは、第135条(b)(1)は、特許発効日から1年以内は潜在的にインターフェアレンスの可能性があることを特許権者に通知しているに過ぎないと主張した。

CAFCは、判例、制定法の解釈と裁判所の方針に基づいてCaliforniaの主張を拒絶した。例として、CAFCは判例Berger and Corbett 対 Chisholm事件を引用し、基準日前のクレームと基準日後のクレームには重要な相違があってはならないと判示した。さらに、CAFCは、制定法は明白であり、単純に解釈すれば、制定法はCaliforniaの解釈をサポートしていないと結論付けた。

最後にCAFCは、制定法の背景にある方針は、Californiaが主張したような、特許権者に潜在的インターフェアレンスを通知するためのものではなく、インターフェアレンスが生じる期間を限定することにより、特許権者の(権利の)脆弱性をカバーすることにあると説明した。

PTOがインターフェアレンスを宣言するべきであったとしても、公益の観点からは、他の特許の発行が優先され、時機を逸したインターフェアレンスが切り捨てされる。

CAFCは、制定法によって達成されるこれらの競合方針の注意深いバランスが、Californiaの解釈によって乱されかねないと認定した。

本件では、CAFCは、特許付与から1年の基準日より以前から、既にインターフェアレンスの関係にあった特許と特許出願において、その基準日後に作られた特許出願の新たなクレームが、基準日前から存在した特許出願のクレームと重要な相違が無かったことから、その特許と基準日後の特許出願クレームとの間のインターフェアレンス手続きを認めた。

こうしてCAFCは、インターフェアレンスの当事者が、このような新たなクレームを提出することを制定法に基づき禁止した。