CAFC判決

CAFC判決

Teva Pharmaceuticals USA 対 Corcept Therapeutics Inc. 事件

CAFC No. 2021-1360,2021,12,7-Dec-21

この事件でCAFCは、クレームに具体的に特定された用法用量を用いることによる「成功の合理的な期待」がなかったとして、自明性を理由とした特許無効の主張を退けた。

「成功の合理的な期待」がないとして自明性を理由とした特許無効の主張を退けた事例

Corceptは、コルチゾールの過剰分泌が原因でおこるクッシング症候群の治療薬Korlym(薬効成分mifepristone)の販売承認をFDAから得て、その薬を使用した治療方法に関する特許(10,195,214)を取得した。Tevaが、Korlymのジェネリック薬の販売承認(ANDA)をFDAに申請したため、CorceptはTevaを特許侵害で訴えた。Tevaは、USPTOにPGRを申請し、Korlymの添付文書の記載とFDAの研究報告の内容から同特許は自明であると主張し、これを裏付ける専門家証言も提出した。PTABはPGR開始を決定したが、発明を自明と判断することはできないとして特許の有効性を認める決定をくだした。TevaはCAFCに控訴した。

CAFCは、以下のように述べて、Tevaの控訴を退け、PTABの決定を支持した。公知例に基づいて本件発明の「成功が合理的に期待できる」(reasonable expectation of success)ことをTevaは主張する。しかしなながら、本件での問題はクレームされた600mgのmifepristoneによる成功の合理的な期待であり、Korlymの添付文書に記載の300mgより多く投与した場合に安全にクッシング症候群を治療できることの合理的期待は示されていないし、専門家証言には矛盾があり信用できない。