求償権を放棄するための支払額の算定はコモンロー上の問題であるから陪審審理を受ける権利があると判断した判決。CAFCは、release paymentは、実質的にはTCLによる過去の侵害行為に対する補償であり、コモンロー上の救済であると判断した。
求償権を放棄するための支払額の算定はコモンロー上の問題であるから陪審審理を受ける権利があると判断した判決
Ericssonは、無線通信技術に関する多数の特許を保有し、それらをライセンスする事業を行っている。TCL Communicationsは、Ericssonから第二世代通信規格(2G)のライセンスを含むポートフォリオ・ライセンスを受け、スマホやタブレットなどのモバイル機器を製造・販売している。
TCLはEricssonと3G関連のライセンスを交渉していたがまとまらず、Ericssonは2011年、英仏など6カ国でTCLを特許侵害で訴えた。裁判の係属中の2013年、4G関連のライセンスについての交渉が両者間で始まった。TCLは、その交渉でEricsonが提示したライセンス条件がFRANDではないとして裁判所にライセンス条件の裁定を地裁に求めた。地裁は、裁判官による審理(bench trial)において、SEPのFRANDライセンス料率を「トップダウン」方式で裁定した。また、過去分のFRAND料率に基づいて、release payment(過去のライセンスなしでの販売についての求償権をEricssonが放棄するための、TCLからの支払額)を定めた。
両当事者は裁定を不満としてCAFCに控訴。CAFCは、release paymentは、実質的にはTCLによる過去の侵害行為に対する補償であり、コモンロー上の救済であると判断した。したがって、release paymentについて裁判官が審理したことは、陪審裁判を受ける権利を奪うものであり、誤りであるとして、地裁判決を破棄・差し戻した。