CAFC判決

CAFC判決

Blue Gentian, LLC 対 Tristar Products, Inc. 事件

CAFC, No. 21-2316 (June 9, 2023)

この事件でCAFCは、訴外当事者の投資家向け説明会での開示事項が発明の完成に大きな貢献をしたとして、訴外当事者を共同発明者として追加することを命じた。

製品の説明会で得た情報に関連する特許・意匠に関する共同発明者の認定について争われた事件

訴外Ragner Technologyは延長ホースのメーカーである。同社は2011年8月23日、新製品”MicroHose”に関する会合をMichael Berardi(原告Blue Gentian社の創始者)の自宅でもった。会合にはRagner Technologyの幹部も参加した。会合でMicroHoseの製造プロセスについての機密情報が配布され、そこにホースの内部構造が示されていた。また、MicroHoseのデモ機を使って実演が行われた。

この会合の3ヶ月後の2011年10月、Berardiは延長可能ホース(extendable hose)に関する複数の特許出願を行った。その結果、特許4件(8,291,941; 8,291,942; 8,479,776 & 8,757,213)と延長ホースの装飾に関するデザイン特許2件(D722,681 & D724,186)を取得した。発明者として、Michael Berardiだけが記載されていた。これらの特許を根拠に、Blue GentianはTristar Productsを特許侵害で提訴した。しかし、Tristarは、Ragnerが保有する延長可能ホースに関する別特許のライセンシーであった。

提訴を受けたTristarは、係争特許6件の発明者の記載に誤りがあるとして訂正を求める反訴を提起した。ヒアリングの結果、地裁は係争特許全てについてRagner Technologyの代表であるGary Ragnerを共同発明者であると認定し、発明者の記載訂正をPTOに命じた。この認定を不服としてBlue GentianはCAFCに控訴。

CAFCは次のように述べて地裁の確認判決を支持した。先ず、地裁は、各特許の少なくても一つのクレームの概念にとって、RagnerがRagnerが会合で説明した3つの要素―「内外のチューブは端部だけで接着されている」「外部チューブはファブリック製である」「内部チューブは弾性体なので金属スプリング無しでも収縮する」―がBerardiの発明に大きく貢献したと認定した。地裁のこの認定は正しい。それに対して原告は、発明者の問題の前にクレーム解釈を行うべきであると主張するが、その主張は、クレーム解釈についての重要な争いがあることを立証していないので受け容れられない。