CAFC判決

CAFC判決

VLSI Technology LLC 対 Intel Corp. 事件

CAFC, No. 21-1826 (November 15, 2022)

本事件においてPTABは、IPRにおいて、マークマン・ヒアリングに基づく地裁の用語解釈とは異なる解釈に基づいて判断を下していた。CAFCは、地裁による解釈をPTABが尊重しなかったのは規則違反であるとの主張に対し、PTABがさらなる解釈を示すことは争いを解決するために必要であったこと、地裁の解釈を否定したわけではないことを挙げて、退けた。

IPRにおいて、地裁の用語解釈とは異なる解釈が採用されたとして争われた事件

VLSIは、半導体チップが電気装置と接続された時にチップ上の接続層や誘電材料へのダメージを減少させる改良された構造を開示する特許(7,247,552)を保有し、Intelを特許侵害で訴えた。VLSIの提訴を受けたIntelは、USPTOに552特許のクレームが無効であると主張して3件のIPRを請求し、PTABはIPR開始を決定した。Intelは、発明の構成要素である“force region”の解釈を地裁の解釈と同じにするようPTABに申立て、VLSIはその申立てに反対しなかった。地裁は、マークマン・ヒアリングにおいて、明細書の記載から”force region”を“region within the integrated circuit in which forces are exerted on the interconnect structure when a die attach is performed”であると解釈した。しかし、その構成要素であるdie attachの解釈に違いがあり、このために当事者間のforce regionの解釈には齟齬があった。結局、PTABはdie attachの解釈を示すことなく、”force region”を「少なくてもボンディング・パッドの直下の領域が含まれる」と解釈した。その上でPTABは、force regionがflip chip bondingに限定されておらずwire bodingを含みうることは明らかだと述べ、IPR対象のクレームは公知例に照らして自明であり特許性がないと決定した。VLSIはPTABの決定を不服としてCAFCに控訴した。

VLSIは控訴審で、PTABが地裁の解釈を尊重しなかったのは規則違反であり、無効であると主張したが、CAFCは、VLSIの主張を退けた。CAFCは、この手続上の争点について、当事者間の議論を踏まえればPTABが地裁の解釈を考慮していたことは明らかであるし、PTABが地裁の解釈を拒否したわけではなく、die attachの解釈に関する争いを解決するために、PTABがforce regionについてより踏み込んだ解釈をする必要があったにすぎないとして、PTABによる扱いを支持した。しかし、PTABが別のクレーム要素”used for electrical interconnection”を「能動素子に接続されていない金属製の構成体を含む」と解釈したのは誤りであるとし、この論点についてはPTAB決定を破棄し、PTABに差戻した。