CAFC判決

CAFC判決

Max Rack, Inc. 対 Core Health & Fitness, LLC 事件

6th Circuit, Nos. 20-3598, 3600 (July 14, 2022)

この判決で控訴裁判所は、「弁護士費用の救済」が認められるためには事件が「例外的」でなければならないところ、本件は、故意侵害は認められるものの、原告が裁判を真剣に争っておらず、被告の無断販売も裁判開始前に終了しており、「例外的」な事件にあたらないと判断した。この事件の注目点は、商標法規定「弁護士費用の救済」(15 U.S.C. §1117(a))の要件である。これは特許法285条と実質的に同じ規定であり、‘例外的な’(exceptional)の解釈が争われた。

弁護士費用の救済のための「例外的」な事情を認めなかった第6巡回区控訴裁判所判決

Max Rack, Inc.はスポーツジムで使用するベンチプレスの安全装置を開発・製造し、「Max Rack」のネーミングで販売した。1997年に「Max Rack」に関する特許と商標を取得した。

Max Rack社は、知名度を上げるため新しい広告担当役員を採用し、2002年までに装置の改良と拡販のために100万ドルを追加投資した。2005年に「Max Rack」の製造・販売のための独占的ライセンスをStar Trac Strength社に許諾した。ライセンス契約の特約には契約存続中に製造された「Max Rack」の在庫品を契約終結後6ヶ月間は継続販売ができる旨の記載があった。ただし、継続販売分にロイヤルティ支払が求められていた。

Star Trac Strength社は2010年に経営難に陥り、ライセンス契約を含む全事業をCore Health & Fitness社に譲渡した。Max Rack社は、Core Health & Fitnessの品質管理が不十分であるとの懸念を伝えていた。ライセンス許諾された特許は2015年までにすべて満了した。

Core Health & Fitness社はライセンス契約の終結をMax Rack社に通知し、「Max Rack」と同一の装置を[Freedom Rack」のネーミングで販売した。その中には、「Max Rack」のネーミングが付いた製品も含まれていた。また、ウェブサイトの記載に「Max Rack」の商標名が残されていた。(なお、契約存続中に製造された特約規定に該当する在庫品に対するロイヤルティについては、裁判が起こされた後、延滞金と共にMax Rack社に支払われた。)

Max Rack社は、ランハム法違反を理由にCore Health & Fitness社を地裁に提訴し、①ライセンス製品の契約終了後の商標の無断使用、②「Max Rack」のfree-ride (タダ乗り)―を主張した。陪審は100万ドルの損害賠償支払いとCore Health & Fitness社の不当利益から25万ドルの返還を評決した。裁判官は被告の故意性を重視し、不当利得額を50万ドルに倍額に認定し、さらに原告の「弁護士費用の救済」も認定した。しかし、100万ドルの損害賠償支払いについてはそれを退けた。当事者は第6巡回区控訴裁に控訴した。

控訴審は地裁判決の一部を支持し、一部を破棄した。具体的には、「不当利得額を25万ドルに認定」と「100万ドル損害賠償支払いの不採用」については、証拠で裏付けされているとして地裁の判決を支持した。しかし、「不当利得の倍額認定」と「弁護士費用の救済の認定」については、以下の理由により地裁の認定を退けた。地裁は故意侵害をその理由に挙げているが、その判断は判例に準拠していない。「弁護士費用の救済」が認められるためには「例外的な」事件でなければならないが、本件の場合、原告が裁判で真剣に争っておらず、しかも被告の無断販売も裁判が始まるまでには終了しており、これえらを考慮すると本件は「例外的」な事件ではない。