CAFC判決

CAFC判決

Realtime Data LLC 対 Reduxio Systems, Inc. 事件

CAFC No. 2019-2198, -2201, -2202, -2204,2020,10,23-Oct-20

地裁ヒアリングでの審問が新規性と自明性に偏っているにもかかわらず特許適格性の欠如により訴えを斥けた判決が、控訴審での再審理に値しないとして破棄された珍しい判決。CAFCは、地裁の原告への審問ではクレームが抽象的アイデアに向けられているかどうかを確認すべきであり、明らかにヒアリングの内容は適切ではないとした。

地裁ヒアリングでの審問が新規性と自明性に偏っているにもかかわらず特許適格性の欠如により訴えを斥けた判決が、控訴審での再審理に値しないとして破棄された珍しい判決

Realtime Data (以下、原告)は、デジタルデータの圧縮方法とそのシステムに関する5件の特許(7,415,530; 8,717,203; 9,054,728; 9,116,908 & 9,667,751)の特許権者である。これらの特許のうち2件は、公知技術の「データ依存」(data dependency)の問題を解決するものであり、別の2件はデータ保存(data storage)の改善に関するもの、そして最後の1件は高速のデータ送信手段に関するものである。原告は、テキサス州東部地区連邦地裁にReduxio Systems(被告)を特許侵害で訴え、被告は、特許5件の全クレーム(159項)が特許を受けることのできない発明であるとして侵害請求棄却のモーションを申し立てた。モーションについてのヒアリングで、判事は、主に751特許のクレーム25について質問し、約2時間で終了した。その後、地裁判事は、5件の特許の全クレームを、特許を受けることのできない発明と認定し、ヒアリングでの証言録を判決文とすることを決定した。これに対して原告はCAFCに控訴した。

CAFCは、Alice事件最高裁判決で確立された2段階テスト(=①発明要素が自然法則など特許を受けることのできない主題についてのものであるかの確認、②もしそうであればクレームに発明と認められる概念があるかの確認)に従い再審理を行い、その結果、地裁の101条に基づく特許適格性の審理が不十分であり、控訴審で意味のある審理ができないとして、地裁判決を破棄し、事案を差し戻した。CAFCは、次のようにその理由を説明した。

先ず、原告への審問で地裁は、全体のクレームの評価をせずに新規性と自明性に関する事実確認に終始した。本来、アリス判例に従い、クレームが抽象的アイデアに向けられているかどうかを確認すべきであり、明らかにヒアリングの内容は適切ではない。次に問題なのは、地裁がどのクレームが代表的クレームであるかを特定せずに審理を進めたことである。三番目は、本件特許が争われた別の裁判では特許が有効と判断されているのに、その判断が何故誤っているかについて一切の説明がなされていない。