CAFC判決

CAFC判決

Pharma Tech Solutions. 対 LifeScan, Inc. 事件

No. 2019-1163,2019,11,22-Nov-19

出願人による補正だけでなく、その主張にも基づいて、袋禁反言を適用した判決。CAFCは、包袋禁反言について、「補正に基づく禁反言」と「主張による禁反言」という二つの類型を判断基準として容認し、本件は何れにも該当するとして地裁の判決を支持した。

出願人による補正だけでなく、その主張にも基づいて、包袋禁反言を適用した判決

Pharma Techは、糖尿病患者が血中グルコースを自分で検査できる家庭用血糖値測定器および測定方法に関する特許出願をおこなった。審査の過程で審査官は3件の公知例を引用し、1回目の拒絶理由通知をおこなった。それに対し、Pharma Techはクレームを減縮補正して対応した。2回目の拒絶理由通知では新しく公知例が1件追加され、自明であるとの拒絶理由が出された。出願人のPharma Techは、「比較」と「変換」という文言が先行例には存在しないと主張して、自社出願と先行例との差別化をはかった。同じ公知例にもとづき、3回目の拒絶理由通知がだされたため、Pharma Techは審査官と面談を行い、「比較」と「変換」による公知例との違いを強調した。その結果、特許が認められた。

特許成立後、Pharma Techは、LifeScanの血糖値測定器が同社特許を侵害するとして裁判を起こした。被告の測定器には電流値の「変換」ステップも検体濃度の「比較」ステップもないため、Pharma Techは文言侵害ではなく、均等論による侵害を主張した。地裁は、被告の装置が審査時の補正で放棄された範囲に含まれると認定した。そして、出願時に原告が「比較」と「変換」によって公知例と差別化されるとの主張によって、包袋禁反言が構成されると認定した。

Pharm TechはCAFCに控訴。CAFCは、包袋禁反言について、「補正に基づく禁反言」と「主張による禁反言」という二つの類型を判断基準として容認し、本件は何れにも該当するとして地裁の判決を支持した。