CAFC判決

CAFC判決

Packet Intelligence, LLC 対 NetScout Systems, Inc. 事件

CAFC No. 2019-2041,2020,7,14-Jul-20

被疑侵害者が特許の非表示を通知すれば、特許非表示の立証責任は特許権者に転換されるとした判決。CAFCは、被疑侵害者は、特許非表示の立証義務があるが、製品に特許表示がない旨を特許権者に通知すれば、その義務は全うされ、その後の挙証責任は特許権者に移り、特許権者は特許が当該製品に実施されていないことを立証しなければならないと判示した。

被疑侵害者が特許の非表示を通知すれば、特許非表示の立証責任は特許権者に転換されるとした判決

Packet Intelligence は、コンピュータ・ネットワークのパケット監視の方法に関する3件の特許(6,665,725; 6,839,751 & 6,954,789)を保有し、NetScoutを特許侵害でテキサス州東部地区地裁に提訴した。地裁は、(1) NetScoutの故意侵害、(2) 対象クレームの有効性、(3) 訴訟提起前の損害賠償として350万ドル、(4)訴訟提起後の損害賠償として225万ドル、(5) (故意侵害に対する)280万ドルの加重賠償、 (6) 将来分として1.55%のロイヤルティ率での支払い―を判決した。NetScoutはCAFCに控訴し、Packetのライセンシーがライセンス許諾製品に特許表示(marking)を適正に行わなかったので訴訟提起前の損害賠償は発生しないと主張した。CAFCは、NetScoutの主張を支持し、訴訟提起前の損害賠償についての判決を破棄した。その理由をCAFCは次のように説明した。

被疑侵害者は、特許非表示の立証義務があるが、製品に特許表示がない旨を特許権者に通知すれば、その義務は全うされる。その後の挙証責任は特許権者に移り、特許権者は特許が当該製品に実施されていないことを立証しなければならない。非表示の理由として特許権者は、発明者が明細書で製品名を特定しなかったことを挙げるが、それは特許の実施をしていないことの立証にはならない。また、専門家証言も、どのクレーム限定が製品に実装されていないのかを示しておらず、不十分である。