CAFC判決

CAFC判決

In re Vivint Inc. 事件

CAFC No. 2020-1992,2021,9,29-Sep-21

この事件は、繰り返し請求されたIPR、再審査請求を認めたPTABの決定を職権乱用としてCAFCが取り消した。奇妙なことに、特許性を否定された特許が生き残ることになった。

PTOには付与後異議の濫用に対し、法325条(d)に基づき拒絶する裁量があり、その裁量を行使しないPTABの決定を権限の濫用と判断した事例

Vivint(原告)は2015年、米国特許(6,717,513)を含む4件の特許侵害でAlarm.com(被告)を地裁に訴えた。被告は、侵害訴訟の係属中に係争特許のクレームの有効性を争い、3件のIPRと複数の付与後レビューを申請した。PTOは、これらが一連の申請がいやがらせの目的で不当であるとして、特許法325条(d)にもとづきその申請の受理を拒絶した。

1年経過後、被告は、IPRで引用した公知例に2件の公知例を新たに加え、改めて係争特許の全てのクレームについての査定系再審査請求を申立て、全クレームが無効であると主張した。PTOは、先のIPR申請を拒絶していがた、今回の請求では特許性の問題が新たに提起されているとしてその申立てを認めた。再審査の結果、被告の特許無効の主張を認め、係争特許の全クレームを拒絶した。原告はCAFCに控訴した。

CAFCで原告は、①再審査請求がIPRの繰り返しであり特許性の問題を提起していない、②IPRの繰り返した後で再審査請求を認めたのはPTOの職権濫用であり恣意的な決定である―と主張した。①の論点について、CAFCは、新しい公知例にもとづく新規性は未解決の問題であるとして、原告の「繰り返し」の主張を退けた。②の論点について、PTOには、325条(d)に基づき再審査請求を拒絶する裁量と、開始した再審査を停止する裁量が認められている、と判示した。その上で、被告の悪質な申請の繰り返しに対し、その裁量を適正に行使しなかったのはPTO職権の濫用にあたると判断し、事件をPTABに戻した。

この結果、PTABはその決定を取り消すので、PTABが特許性を否定した特許が維持されることになる。