CAFC判決

CAFC判決

In re Surgisil, LLP, Peter Raphael, Scott Harris 事件

CAFC No. 2020-194,2021,10,4-Oct-21

この事件では、意匠特許出願が具体的な物品の意匠を対象とするときに、物品の垣根を越えて、その創作性を否定した特許庁の判断が争われた。

意匠特許出願に引用できる公知例はクレームに記載された製造物に限定されると判断された事例

SurgiSilは、デザイン特許出願(No. 29/491,550)の出願人である。この出願は「リップインプラント用装飾デザイン」(ornamental design for a lip implant)をクレームするもので、ペン型の本体両端は、先細りのキャップ形状になっていた。審査官は、絵画で使用され「スタンプ」(stump)と呼ばれるパステル画やデッサン画の刷毛(柔らかい紙をペン型に巻いて両端を先細り形状にしたもの)のカタログを公知例にあげ、リップインプラント出願を拒絶した。SurgiSilは審判を請求し、公知例は製造物のデザインであり、本件デザインの対象物とは大きく異なると主張したが、審判官は二つのデザインにはそれほどの違いはないとして審査官の拒絶を支持した。SurgilSilはCAFCに控訴した。

CAFCは、次のように判示して、審判官の新規性欠如の決定を破棄した。デザイン特許のクレームは記載された物品(製造物)に限定される。リップインプラントを特定した550出願はリップインプラントをクレーム(権利の対象)しているので、そのクレームはリップインプラントに限定され、それ以外の製造物には及ばない。意匠のクレーム範囲の解釈を誤った用審判官の拒絶を取り消した。