CAFC判決

CAFC判決

Iancu 対 Brunetti 事件

Supreme Court No. 18-302,2019,6,24-Jun-19

不道徳または中傷的な内容を理由とした商標登録の拒絶は憲法に違反するとした判決。最高裁は、不快を感じさせるようなマークについて商標登録を拒絶することは、合衆国憲法第1修正の「政府は不快な思想であってもそれを差別してはならない」という原則に違反するとした。

不道徳または中傷的な内容を理由とした商標登録の拒絶は憲法に違反するとした判決

Erik Brunetti は、’FUCT‘(「エフ・ユー・シー・ティー」と読む)のネーミングでビジネスを行い、そのネーミングの商標登録を申請した。審査官は商標出願が下品であるとして拒絶した。審判部は、マークに性的な含意があり、女性蔑視やニヒリズムを感じさせるとして審査官の拒絶査定を支持した。

BrunettiはCAFCに控訴。CAFCは、商標法の関連規定(15 U. S. C. §1052(a))が言論の自由を保証する合衆国憲法第1修正(The First Amendment)に違反すると判決した。 PTO長官(=Iancu)は連邦最高裁に上告した。

最高裁は、先例である「Matal v. Tam事件」において出願マークが「侮辱的な内容」で構成される場合、商標登録を拒絶できるとする商標法の規定1052(a))が合衆国憲法第1修正に違反するかどうかを審理し、マークのもつ含意を理由にして商標登録を拒絶することは合衆国憲法に違反すると判決している。

合衆国政府はこれまで、不快を感じさせるようなマークについては商標登録を拒絶しており、商標法の規定はそのような方針を反映したものとなっている。しかし、そのようなマークであっても、その商標登録を拒絶することは、合衆国憲法第1修正の「政府は不快な思想であってもそれを差別してはならない」という原則に違反する。商標登録の拒絶が、マークそのものを理由とするのではなく、マークの背景にある思想・信条を理由とするならば、それは言論差別にあたり、合衆国憲法第1修正の原則に違反する。たとえマークが不道徳または他人を中傷する内容をもつ場合であってもそれは変わらない。