CAFC判決

CAFC判決

Google LLC 対 Oracle America Inc. 事件

Supreme Court No. 18-956,2021,4,5-Apr-21

この事件では、APIコードが著作権の保護対象かどうか、そして保護対象であるとすれば、そのコピー(使用)は、著作権侵害かフェアーユースかが争われた。

グーグルによるOracleのインターフェースのコードの複製使用が著作権法上の「フェアユース」と認定した判決

Googleは、サン・マイクロシステムズのJava SEのAPI(=他のソフトウエアと機能を共有できるようにした公開ソフト)の一部コードを複製し、自社製のAndroidプラットフォームに使用した。Oracleは2010年、サン・マイクロシステムズを買収し、Googleを著作権侵害と特許侵害訴訟で提訴した。

地裁の陪審は、特許侵害請求を退け、著作権侵害請求の一部を認めた。しかし、Googleの公正使用(fair use)の抗弁については評議が紛糾し、裁判官がAndroidのAPI(application programming interface)のほとんどがGoogleによって書かれたたものと認定し、複製コードは運用・方法に関するもので著作権がないと判決した。しかし、CAFCは、そのコードが著作物であるとして地裁判決を破棄した。公正使用については証拠が不十分であるという理由から事案を差し戻した。地裁の差戻審(陪審)は、Googleの複製が公正使用であると認めたのでこれを不服とするOracleがCAFCに控訴した。

CAFCは、公正使用の問題は法律問題であり、陪審ではなく裁判官が判断すべきであるとして地裁判決を退け、損害賠償の審理を行うよう再度地裁に差し戻した。Googleは連邦最高裁に上告した。

最高裁は、GoogleによるAPIコードの複製を公正使用と認め、著作権侵害を否定した。その理由を以下のように述べた。GoogleによるAPIコードの一部複製は、プログラマが新しいプログラムを作るために必要なコードに限定されており、それは素材の公正な使用に該当する。公正使用の原則は、その適用にあたり、技術変革を考慮して弾力的におこなわなければならない。コンピュータプログラムは、機能的な目的に使用されるという点で他の著作物と異なっている。Oracleは、公正使用の問題を事実問題として陪審が判断すべきであると主張するが、公正使用は、事実問題と法律問題の両方が含まれる問題であり、陪審の判断を重視するのは当然としても、法律問題として裁判官が判断すべき問題でもある。したがって、裁判官が陪審の判断を再審理することに何ら問題はなく、陪審裁判を受ける権利(憲法第7修正)にも抵触しない。