CAFC判決

CAFC判決

Forrester Environmental Services, Inc. 対 Wheelabrator Technologies, Inc. 事件

No. 2012-1686,2013,9,16-May-13

域外行為の虚偽陳述に連邦裁判所の事物管轄権が及ばないことを示した判決,この事件は台湾での行為に関連し、実質的な連邦特許法の問題が生じないために連邦地方裁判所の事物管轄に属しないとして、CAFCは、連邦地方裁判所の略式判決を本案について覆した。

域外行為の虚偽陳述に連邦裁判所の事物管轄権が及ばないことを示した判決

この判決は、フォレスター・エンヴァイロメンタル・サーヴィス(Forrester Environmental Services)及びキース・イー・フォレスター(Keith E. Forrester)(合わせて「フォレスター」)が、ウィーラブレータ・テクノロジーズ(Wheelabrator Technologies「ウィーラブレータ」)の不法行為を主張した略式判決の申立てに対し、ウィーラブレータ側の主張を認めた地方裁判所の略式判決に対する控訴審判決である。

ウィーラブレータ及びフォレスターは、廃棄物に含まれる重金属を安定化させるために使用されるリン酸に基づいた処理システムを提供し、両者は各自システムの特許を米国において取得していた。2000年に、ウィーラブレータは自社の処理システムを、台湾の会社、バイオ・マックス・エンヴァイロメンタル・エンジニアリング(Bio Max Environmental Engineering「バイオ・マックス」)にライセンスした。

その後、バイオ・マックスは、台湾の別の会社であるコービン・エンヴァイロメンタル・エンタープライズ(Kobin Environmental Enterprise「コービン」)が、台北にあるプラントで使用するために、システムをサブライセンスした。

2004年にフォレスターは、コービンを説得して、ウィーラブレータの処理システムからフォレスターのシステムへ乗り換えさせた。これに対しウィーラブレータは、自社の特許がフォレスターの処理システムもカバーしていると主張して、コービンに対してサブライセンス契約違反を理由に提訴すると警告した。コービンは、ウィーラブレータの説得に応じ、処理システムを元のウィーラブレータのものに戻した。

フォレスターは、2010年に、ニューハンプシャー州裁判所において訴えを起こした。フォレスターは、ウィーラブレータがニューハンプシャー州の消費者保護法に違反し、フォレスターとコービンの契約関係を不法行為によって妨げ、そしてフォレスターのトレード・シークレットを不正流用したと主張した。ニューハンプシャー州の法律が4件の訴え全ての基盤となった。

ウィーラブレータは、この事件をニューハンプシャーの州裁判所から、連邦地方裁判所に移送した。その後フォレスターは、地方裁判所には主張クレームに関する事物管轄権がないと主張して、事件を州裁判所へ戻すよう申請した。

地方裁判所はフォレスターの申立てを却下し、すべての点でウィーラブレータの主張を認める略式判決を下した。フォレスターはCAFCへ控訴した。

CAFCは、地方裁判所には事物管轄権がないと認定し、地裁判決を破棄し、さらに、地方裁判所が正式に訴訟の移送を受け入れるためには、第一審管轄権を持つ必要があると説明した。連邦裁判所は、連邦特許法下で生じる申し立て、及び連邦特許法に関する実質的な問題の解明に依存する原告の救済を求める権利に関係する申し立てについて第一審管轄権を有するためである。

ウィーラブレータは、フォレスターの主張の基となったウィーラブレータの虚偽の陳述が、米国特許に関する虚偽の陳述であるため、フォレスターの救済を求める権利は連邦特許法の実質的な問題を生じさせると主張した。

CAFCは、米国特許に関する虚偽の陳述に基づく州法下の申し立ては、特許が侵害されたか否かの決定を必要とするため、連邦特許法の実質的な問題を生じさせることを認めた。しかし、CAFCは、ウィーラブレータの虚偽の陳述は、米国ではなく台湾における行為に基づく陳述であり、連邦特許法は米国における行為にのみ適応されると説明した。

さらに、CAFCは、ウィーラブレータの製品及びフォレスターの製品のどちらも米国へ輸入されていないこと、そしてウィーラブレータの特許の有効期限が切れたため、その特許に関する今後の侵害は不可能であることを指摘した。従って、フォレスターの主張は、連邦特許法の実質的な問題を生じさせないものであり、そして連邦地方裁判所はこの件に関しては事物管轄権を有さないと認定した。

フォレスター事件は、特許に関する虚偽の陳述について、連邦裁判所の事物管轄権の範囲に関する指針を示している。連邦事物管轄を発生させるためには、このような陳述は、米国における行為または米国へ輸入する製品に関する陳述でなければならない。

Key Point?この事件は台湾での行為に関連し、実質的な連邦特許法の問題が生じないために連邦地方裁判所の事物管轄に属しないとして、CAFCは、連邦地方裁判所の略式判決を本案について覆した。