CAFC判決

CAFC判決

CyWee Group Ltd. 対 Google LLC, et al 事件

CAFC No. 2020-1565,2021,3,16-Mar-21

この事件でCAFCは、IPRにおける真の利害関係人の明示義務が果たされたとのPTABの判断は最終的な決定でありそれを控訴で争うことはできないとした。原告は、IPR開始後に新たに発見された真の利害関係人に関する証拠に基づいて審理の停止を求める申立ても行い、PTABはこれを退けたが、CAFCはこの申立ても審理開始決定の再考要求と変わりなく、このような要求に対するPTABの判断もやはり最終的な決定であり控訴で争うことはできないとした。

IPRにおける真の利害関係人の明示義務が果たされたとのPTABの判断は最終的な決定でありそれを控訴で争うことはできないとされた事例

CyWee Group は、特許2件(8,441,438及び8,552,978)の特許権者である。Google、Samsung, LG, Huaweiグループなどの企業が両特許のIPRを申請し、公知例(Bachmann)及びその他の公知例との組み合わせで発明が自明であると主張した。IPR開始を決定したPTABは、Googleその他のIPR申請者の主張を容れ、438特許のクレーム1,クレーム3-5を無効、978特許のクレーム10及びクレーム12を無効と決定した。CyWeeはCAFCに控訴し、①CyWeeの2件のモーション(IPR開始後に新しく発見された真の利害関係人に関する証拠にもとづく審理の停止を求めるモーション/IPR申請者の特定のための新規のディスカバリーを求めるモーション)を退けたのはPTABの誤りである、②PTO長官によるPTAB審判官の任命は憲法違反なので、PTABの審決そのものが無効である、③Backmann公知例を類似(analogous)技術と判断したのは誤りである、と主張した。

CAFCは以下のように述べて、CyWeeの主張を退け、PTABの審決を支持した。①の論点について、CAFC判例(ESIP Series 2, LLC 対Puzhen Life事件、2020)で、特許法312条(a)(2)下での「利害関係にある当事者」問題については控訴ができないと判決している。CAFCは、CyWeeの主張を、単にモーションという名目で、PTABに決定の再考を求めたものに過ぎず、したがってモーションに対するPTABの判断は最終的でありそれを控訴で争うことはできないとした。また、②については、「Arthrex事件判決」により、PTAB審判官の違憲問題は解決済み。③についてPTABは、当該発明の中核的な課題は「比較方法を改良することで誤差補償を改善したこと」にあると認定した。提出された証拠や明細書の記載で、その課題は既に提案されていること。即ち、Backmann公知例が「同類のセンサーからデータを集積し」、「同類のエラーを補正する」と記載していること、などからBackmann公知例が当該発明の先行技術であると指摘した。