CAFC判決

CAFC判決

Colida 対 Nokia, Inc.事件

No. 2009-1326,2010,2,6-Oct-09

意匠の類似性の判断,この事件では意匠権の権利範囲は、全体的なデザインを考慮に入れた「通常の観察者」を基準に判断されることが示されました。アメリカ合衆国における意匠保護は、装飾的デザインに限定され、デザインの機能的特徴は保護されないことに注意する必要があります。

意匠権の権利範囲の基準

弁護士が代理をしていない本人訴訟の当事者であるコリダ(Tony Colida)は、特許権侵害に対するコリダ氏の請求を却下し、連邦民事訴訟規則の規則11に基づく制裁を課した決定を不服とし、CAFCに控訴した。

コリダ氏はノキア(Nokia, Inc.)を携帯電話のデザインを主張している3つの意匠特許の侵害により訴えた。訴えられた装置はノキアのモデル6061電話である。

地方裁判所は、コリダ氏が多数の特許訴訟に関係しており、何度も裁判所へ出廷し、非侵害の判決を少なくとも9つ受けており、それらのうちいくつかは、裁判中の意匠特許に関するものであったと言及した。

地方裁判所はこの申立を却下し、被告であるノキアに連邦民事訴訟規則の規則11に基づく制裁を認め、4つの主張された意匠特許に関連する侵害訴訟を起こす前にニューユーク州南部地方裁判所の許可を求めるようコリダ氏に命じる終局的「非申立」の差止命令を課した。CAFCはニューヨーク州地方裁判所の決定を支持する「判例とならない」判決を下した。

コリダ氏がなぜ地方裁判所の却下の決定と制裁が誤りであったのかに関する主張を全く行わなかったことに言及した後、CAFCは実体的事項に取りかかった。

CAFCはまず、本人訴訟当事者の申立は寛大に解釈されるべきであるが、それでも被告に責任がある合理的な推定を裁判所が導くような文面上のもっともらしさがなくてはならないと述べた。

CAFCは、コリダ氏の申立は、「通常の観察者」が、訴えられたノキアの6061電話と意匠特許とを混同するであろうと合理的に推定するための基準が地方裁判所にないとして、文面上もっともらしくないと結論づけた。

Egyptian Goddess, Inc. 対 Swisa, Inc., F.3d 665, 678 (Fed. Cir. 2008)事件における最近の大法廷判決を引用し、CAFCは意匠特許侵害における基準は、「通常の観察者」が主張されたデザインと訴えられた製品とが「実質的に同一である」と感じるか否かであると改めて述べた。

Egyptian Goddess事件は、被侵害意匠特許(訴訟対象の意匠特許)に対し、2つのアイテムがどんなに類似しているように見えても、訴えられた装置は、権利化された装置の中で先行技術とそれを区別する新規性を持たなければならないとした意匠特許の侵害に対する従来の「新規性の論点」基準を覆した。

地方裁判所は、通常の観察者が、ノキア6061と主張されたデザインが同一であると感じないと結論付ける中でいくつかの理由を挙げた。第一に、主張された意匠特許のうち3つは、電話機上に目に見えるアンテナが示されていないが、ノキア6061には短く、太いアンテナがあった。第二に、訴状では貝殻の形状についての言及があったにもかかわらず、どの意匠特許がそのデザインを包含するのか、訴えられた製品のどこに現れているのか、また侵害の問題に関連する他の事実についての説明がなかった。地方裁判所は、主張された意匠特許のうち、唯一347意匠特許が「貝殻」の形状を特徴として有するとした。

CAFCは、主張された意匠特許のうち幾つかにある折りたたみデザインは、装飾用でなく機能的なものであり、故に意匠権の権利範囲の入らないとの点で地方裁判所に同意した。

CAFCは、主張された意匠のそれぞれを訴えられた装置と比較すると、非類似性は類似性をはるかしのぐと結論した。

それから、CAFCは規則11の制裁とコリダ氏に対する終局的反申立差止命令に取りかかった。もし当事者の申立が現行法により、若しくは証拠に基づく裏付けを欠き、正当化されない場合は、制裁は適性となる。

この事件において、CAFCは、現在の訴訟の申立は裏付けがなく、コリダ氏は以前にも、ノキア6061と類似した製品の侵害によりノキアを訴えていることに言及した。

CAFCは、コリダ氏の以前からの根拠のない申立とわずか4つの主張された意匠特許に限定されていた制裁の狭い範囲に加え、この事件におけるコリダ氏の根拠を欠く申立の性質を考慮に入れ、制裁は地方裁判所の決定権の濫用ではないとした。

コリダ事件におけるCAFCの判決は、意匠に関する事件において教訓的である。このような状況において、侵害の基準は、主張されたデザインと訴えられたデザインの間にある新規性の論点の比較ではなく、むしろ、全体的なデザインを考慮に入れた「通常の観察者」基準である。

また、アメリカ合衆国における意匠の保護は「装飾的」デザインに限定され、デザインの機能的特徴は保護されないことに留意することも大切である。さらに、この事件は、実体のない申立に対抗するために有益な証拠と主張を明らかにした。