CAFC判決

CAFC判決

Celgene Corp. 対 Mylan Pharmaceuticals Inc. 事件

CAFC No. 2021-1154,2021,11,5-Nov-21

この事件は、裁判管轄地の認定に際し、社員の住所がその会社の「定常かつ確立した業務地」となるかどうかが争われた事件である。

Hatch-Waxman法は、将来ジェネリック薬が将来販売される場所での裁判管轄を認めていないとして、特許権者の請求を退けた事例

Celgene(原告)は、多発性骨髄腫(multiple-myeloma)の治療薬を「Pomalyst」の商品名で販売し、同薬に関する特許を複数所有している。複数の後発医薬品メーカーがFDAにジェネリック薬の簡略販売承認(ANDA)を申請したため、原告は特許侵害訴訟を提起した。一連の侵害訴訟はニュージャージー州地裁で行われた。Mylan Pharmaceuticals(被告)に対する訴訟もその一つである。ニュージャージー州には原告の本社があるが、Mylanの事業地はニュージャージー州にはなく、他の州とオランダであった。地裁は、Mylanの米国法人については裁判管轄を理由に、オランダ法人については救済請求の不備を理由に、被告に対する請求を棄却した。原告はCAFCに控訴した。

CAFCは、次のように述べて地裁判決を支持した。特許法271(e)(2)にもとづき、ANDAの申請は特許侵害となるが、ニュージャージー州では被告の侵害は発生していない。Hatch-Waxman法は、ジェネリック薬が将来販売される場所での裁判管轄を認めていない。被告の米国法人は、ニュージャージー州で通常業務を行っておらず、何人かの社員が居住していただけである。民訴法(28 U.S.C.§1400(b))の観点から、従業員の居住地が「定常かつ確立した業務地」とはならない。また、オランダ法人に関しては、侵害となるANDAの申請に関与しておらず、侵害請求の根拠が不明である。