CAFC判決

CAFC判決

合同会社 IP Bridge 1 対 TCL Communication Tech. Holding Ltd. et al. 事件

CAFC No. 2019-2215,2020,8,4-Aug-20

標準必須特許のクレームの標準規格への必須性の決定は事実問題であり陪審の判断事項とした判決。CAFCは、必須性の決定は侵害分析のアプローチに近い事実問題であり、クレーム解釈時に判事が標準必須性を決定することは現実的ではないとも指摘した。

標準必須特許のクレームの標準規格への必須性の決定は事実問題であり陪審の判断事項とした判決

IP Bridgeは、LTE規格に必須な特許(8,385,239 & 8,351,538)の特許権者で、TCL Communication グループの企業を特許侵害でデラウエア地裁に提訴した。標準必須特許についての判例であるFujitsu v. Netgear事件CAFC判決(2010)に従い、IP Bridgeは、①クレームが対象のLTE規格に必須であること、②TCLの製品がLTD規格に準拠したものであることを立証した。これに対しTCLは、何ら反証をしなかったため、陪審はTCLの侵害を認定し、95万ドルの損害賠償を評決した。

事件はCAFCに控訴された。控訴審でTCLは、必須性の問題を陪審が判断する問題ではなく、判事がクレームの解釈時に決定すべき問題であると主張して、Fujitsu判例に基づいてIP Bridgeが侵害立証したことは誤りであると主張した。

CAFCは、標準必須性の決定は事実問題であり、陪審が判断する問題であることを明らかにした。Fujitsu判例の場合、争いのある事実問題が存在しなかったので略式判決となっただけであり、争点は事実問題であり、法律問題ではないとして、TCLの主張には誤りがあると指摘した。CAFCは、さらに、クレーム解釈時に判事が標準必須性を決定することは現実的ではないと指摘した。その理由としてCAFCは、クレーム解釈は内部証拠(intrinsic evidence)に依存するのに対し、必須性の決定は、クレーム要素が標準規格の要素を包含するかどうかの決定であり、クレーム解釈とは異なり、むしろ侵害分析のアプローチに近い事実問題であると述べた。