CAFC判決

CAFC判決

Platinum Optics Technology 対 Viavi Solutions Inc.事件

CAFC, No. 2023-1227 (August 16, 2024)

合衆国憲法第3条第2項第1号に基づき、事件や論争を裁判で立証するには、控訴人(訴えを提起する者)は「具体的な損害」「被告の行為との関連性」「司法判断による救済可能性」の3つを立証する必要があるが、本事件では、控訴人(PTOT)は、上訴に必要な具体的な損害(injury in fact)の立証に失敗したため、CAFCは訴えを棄却した。

侵害訴訟が退けられた特許に対するIPR申請後、PTABの特許有効決定に対するCAFC控訴が当事者適格の欠如により却下された事件

Viavi Solutions Tech.(以下Viavi)は、水素化シリコン層を含む光学フィルタにより構成されたセンサシステムに関する特許(US9,354,369、以下369特許)を保有し、Platinum Optics Technology Inc. (以下PTOT)を特許侵害で訴えた。地裁はこの訴えを棄却した。

PTOTは369特許のIPRを請求し、369特許が公知例から自明であり無効だと主張した。PTABは、PTOTの無効主張を退け、396特許は自明ではないと決定した。PTOTはこの決定を不服としてCAFCに控訴した。

CAFCでの争点は、PTOTの当事者適格(standing)の有無であった。CAFCはPTOTの当事者適格を認めず、本件控訴を棄却した。その理由をCAFCは次のように説明した。PTOTは、自社製品のバンドパス・フィルタを継続的に供給したり、新しいモデルを開発したりする上で369特許の侵害責任が問われる恐れがあることを当事者適格の根拠とした。しかし、それは「事実上の被害」(injury in fact)を立証できるほど具体的なものではなく、あくまでも推測的(speculative)である。また、Viavi.がPTOTを訴えた2件の特許侵害訴訟は、棄却されており(dismissed with prejudice)、再びViaviがPTOTを侵害で訴えることはない。