CAFC判決

CAFC判決

Mission Product Holdings Inc. 対 Tempnology, LLC. 事件

Supreme Court No. 17-1657,2019,5,20-May-19

商標ライセンサーは破産法にもとづく契約履行の拒絶によりライセンス契約を終結させることはできないとした判決。最高裁は、破産法365条の下での債務者の破産時の契約履行の拒否は、破産以外の契約違反と同じ効果をもたつため、その行為は既に許諾したライセンシーの権利を消滅させることはないと判示した。

商標ライセンサーは破産法にもとづく契約履行の拒絶によりライセンス契約を終結させることはできないとした判決

Tempnologyは衣料品やアクセサリーを指定商品とする登録商標(COOLCARE)の所有者で、2012年にMission Productに対し同商標の独占的ライセンスを許諾した。契約満了前の2015年9月、TempnologyはChapter 11を申請して破産手続きに入り、破産法365条の規定(=債務者は両当事者に不履行があった契約の執行を拒否できる)にもとづき商標ライセンス契約を破棄する旨破産裁判所に申し立てた。併せて、Mission Productに許諾した商標ライセンスが終結したことの確認をもとめる判決を同裁判所に求めた。破産裁判所判事はTempnologyによる申立てを認めたが、同裁判所控訴部(パネル)は第7巡回区控訴裁の判例にもとづいて破産裁判所判事の認定を破棄し、商標ライセンス契約は終結しないことを確認した。

事件は第1巡回区控訴裁に控訴され、同控訴裁は破産裁判所のパネル判決とそのベースとなった第7巡回区控訴裁判例を否定し、契約執行の拒絶によって商標ライセンス契約が終結すると判決した。事件は連邦最高裁に上告された。

最高裁は、破産法365条の下での債務者の破産時の契約履行の拒否は、破産以外の契約違反と同じ効果をもたつため、その行為は既に許諾したライセンシーの権利を消滅させることはないと判示して、事案を第1巡回区控訴裁に差し戻し、審理のやりなおしを命じた。