CAFC判決

CAFC判決

Astellas Pharma Inc. 対 Sandoz Inc.事件

CAFC, Nos. 2023-2032, 2063, 2089 (September 18, 2024)

この事件でCAFCは、侵害訴訟において当事者が記載不備を理由に特許無効を主張したにもかかわらず、当事者の主張した理由とは異なる特許非適格性を理由にしてクレームを無効と判断したのは、地裁の裁量の濫用であると判断した。

当事者が提起した理由とは異なる理由で特許を無効とした地裁判決が取り消された事件

アドレナリンβ3受容体作動薬の1つであるミラベグロン(Mirabegron)は過活動膀胱(OAB)の治療に使用される。Astellas Pharmaは、ミラベグロンの持続放出性製剤に関する特許(10,842,780)を保有し、ミラベグロンの後発医薬品を承認申請したSandoz他を特許侵害で連邦地裁に訴えた。

地裁では、特許侵害と明細書記載不備(特許法112条)による特許無効が争われた。審理の結果、裁判官は780特許のクレーム5,クレーム20及びクレーム25を無効と判断した。無効の理由は、発明が特許にならない自然法則を対象としている(特許法101条)ことであった。しかし、特許非適格(101条)の争点は、Sandozが提起したものではなかった。Astellasはこの判決を不服としてCAFCに控訴した。

CAFCは地裁の判決を破棄し、112条に基づく有効性の有無を判断するよう事案を地裁に差戻し、その理由を次のように述べた。裁判所は、当事者が提起した争点についての判断をしなければならない(当事者主張の原則:principle of party presentation)。しかし、本件で地裁はその原則を無視し、当事者が提起していない理由(101条)でもって係争特許の特許性を判断した。それは地裁の裁量権の逸脱である。