CAFC判決

CAFC判決

American Girl, LLC 対 Zembrka 事件

2nd Circuit, No. 21-1381 (September 17, 2024)

この事件で第2巡回区控訴審は、模倣品の輸出の証拠がないとして在外の中国企業に対する裁判管轄を否定した地裁判決を否定して、模倣品の注文及び代金の支払いに基づいてニューヨーク州内での取引の成立を認め、裁判管轄があると判断した。

物理的な出荷がない場合の取引地での裁判管轄が争われた事件

人形の製造・販売会社であるAmerican Girl(原告)は、原告商標を使用した人形の模倣品をネット販売した疑いで中国企業Zembrkaをニューヨーク州南部地区連邦地裁に提訴した。

Zembrka(被告)は、ニューヨークへの輸出を立証する証拠が出されていないことを理由に、原告の人的管轄の不存在を主張し、侵害訴訟の棄却を求めるモーションを地裁に提出した。地裁は、被告のモーションを認めた。原告は、ニューヨーク在住の市民が被告から模倣品を購入したことを示す証拠を提出して再審理をもとめるモーションを提出した。しかし、実際に模倣品がニューヨークに向けて輸出されておらず、代金も返金されたから、取引が発生していないとして、地裁はそのモーションを認めなかった。原告は第2巡回区控訴裁に控訴した。

控訴裁は、被告によるニューヨーク州内での取引の存在を原告が適切に立証したと認定し、地裁の原告のモーションを破棄した判決を破棄・差戻し、その理由を次のように説明した。原告が提出した証拠により、被告がニューヨークからの発注を受けたこと、受注確認を電子メールで行ったこと、購入代金を受け取ったことが明らかであり、これにより州内での被告の取引が立証されている。本件の場合、人的管轄の立証のために、模倣品の輸出の立証は必要ない。