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月刊The Lawyers 2010年12月号(第134回)

1. Teva Pharmaceuticals USA, Inc. 対
Eisai Co.事件

No. 2009-1593 (October 6, 2010)

- オレンジブックへの特許権の掲載と事件性 -

この事件において、CAFCは、事物管轄権の欠如を理由に、ジェネリック医薬品会社による確認判決訴訟を却下したニュージャージー州地方裁判所の判決を破棄し、更なる審理のために差し戻した。

一般的に、以前に認可されている薬のジェネリック版を販売するため、医薬品簡略承認申請(以下、ANDA)を行い、認可を受けなくてはならない。ANDAを申請するためには、オレンジブックに掲載されたその薬に対するそれぞれの特許権についての証明書もまた提出しなくてはならない。

このいわゆる「パラグラフ4の証明書」は、オレンジブックに記載された薬に対する特許権のそれぞれが無効である、またもしくは非侵害であることの表明を必要とし、特定のオレンジブック特許に対してそのような証明書を提出した最初の製造業者には、180日間の包括的販売独占権が与えられる。

最初の提出者の独占期間が経過するまで、米国食品医薬品局は、同一の特許権に対してパラグラフ4の証明書を提出した他の製造業者によるANDAの申請を認可することはできない。

最初の提出者の独占期間は、(1)最初のパラグラフ4の提出者による薬の商業的販売、または(2)争点となっている特許権が無効もしくは非侵害であるとする裁判所への訴え、のいずれかによって開始される。従って、後続のパラグラフ4の提出者は、裁判所の判決を得ることにより最初の提出者の独占期間に影響を与えることができる。

エーザイは、ドネペジルについての新薬承認申請を有しており、オレンジブックに記載のこの製品に対する5つの特許権を所有している。これら5つの特許権のひとつである米国特許第4,895,841号(以下、841特許)に基づく以前の訴訟により、その特許権の満了までテヴァ(Teva)にジェネリック製品の販売を妨げる仮差止命令が出されていた。

残りの4つの特許権に関して、別企業であるランバクシー(Ranbaxy Laboratories)がパラグラフ4の証明書を最初に提出し、独占期間を得た。ランバクシーの独占期間は未だ開始していなかったので、テヴァのANDAが認可される妨げとなっていた。

ランバクシーの独占期間を開始させるために、テヴァはエーザイに対し、残りの4つの特許権に関して確認判決訴訟を提起した。4つの特許権は全てオレンジブックに記載されつづけており、テヴァのANDAの認可の妨げとなっていた。

しかしながら、エーザイは特許権のうち2つについて、事実上請求項の削除である法定放棄を申請しており、その他の2つの特許権についてはテヴァを訴えないとする契約を結んでいた。従って、4つの確認判決の特許権侵害に関する「事件及び争訟」は存在していなかった。

エーザイは、テヴァが合衆国憲法の第三条に基づく事件及び争訟の存在を証明することができなかったとの理由で、テヴァの確認判決訴訟を却下するよう訴えた。

地方裁判所は同意し、管轄権の欠如のために事件を却下し、テヴァは判決を控訴した。

控訴審において、CAFCは却下を破棄し、最近の他の2件のCAFC判決における事物管轄権の分析を基礎とした。特許権をオレンジブックに記載するという特許権者の決定が「なかったなら」、ジェネリック医薬品会社のANDAに対するFDAの認可がその特許権によっていたずらに遅らせられることはなかったであろうと思われる場合、ジェネリック医薬品会社の損害は相当に特許権者の行為によるものとすることができると説明した。CAFCは、そのような損害は裁判所の判決なしには回復できないと言及した。

確認判決は、該当する記載された特許権が市場からジェネリック医薬品を排除する可能性を除去するので、この申し立てられた損害を補償する。しかしながら、CAFCはジェネリック製造会社がオレンジブック特許は有効で、行使可能であり侵害であると認めた場合、ジェネリック製造会社はたとえ独占期間が経過したとしても、自身の製品を販売することができないので、その薬に対する他のオレンジブック特許に対して確認判決訴訟を提起する当事者適格を欠くと言及した。

この推論を本事件の事実に適用し、CAFCはテヴァが現実の争点を明確にしたと結論付けた。841特許に基づく仮差止命令によりテヴァの販売は妨げられているとはいえ、それは単なる「仮」であり、841特許の有効性、特許権侵害、もしくは行使可能性に関する最終的な判決は存在していなかった。

従って、テヴァが今のところ自身の製品を販売することができないとはいえ、仮差止命令はオレンジブックの記載である「独立した障壁」によってもたらされる第三条の下の現実の争点の存在を排除するものではない、というのである。

CAFCは更に、地方裁判所は確認判決法に基づき提起された事件を却下する裁量権を有しているとはいえ、事実に裏付けられていないことに加えて事物管轄権を欠くとの自身の判断に頼ったため、管轄権の否定は裁量権の濫用であると結論付けた。故に、CAFCは、事物管轄権の欠如を理由とし訴訟を却下した地方裁判所の判決を破棄し、更なる手続のために事件を差し戻した。

このCAFCによる判決は、事件のより広い範囲において確認判決訴訟を認めたことにより、たとえANDAの最初の提出者でない場合においても、特許権に異議を申し立てようとするジェネリック医薬品会社の意欲に影響を与えたとして重要である。

ジェネリック医薬品会社が確認判決訴訟を行い、ANDAの最初の提出者の180日間の独占期間を開始させたとすると、ジェネリック医薬品を早く販売でき、そのような事例においてANDAの二番目の提出者となることの増大した市場価値は、訴訟にかかる費用に見合う価値があるかもしれない。

この判決のポイント

この判決は、特許権者がオレンジブックに特許権を記載することは、二番目のANDA提出者の障害になりうることを確認した。地方裁判所は「事件及び争訟」が存在しないとして確認判決訴訟を却下したが、CAFCは二番目のANDA提出者の損害を認め、ジェネリック医薬品会社には確認判決訴訟を提起する当事者適格があると判断した。

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