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月刊The Lawyers 2010年11月号(第133回)

3. Stauffer 対 Brooks Brothers, Inc.事件

Nos. 2009-1428, -1430, -1453 (August 31, 2010)

- 消滅している特許の表示でも虚偽表示の問題が起きる -

CAFCは、原告のスタウファー氏(Raymond Stauffer)には特許の虚偽表示で提訴する当事者適格性がないとしたニューヨーク南地区地方裁判所の判決を破棄した。

原告のスタウファー氏は、被告のブルックス・ブラザース (Brooks Brothers)から複数のボータイ(蝶ネクタイ)を購入した個人の特許弁護士である。それらのボータイは、1954年及び1955年に満了した2つの米国特許を表示していた。スタウファー氏は米国特許法第292条の、虚偽表示に関わる法律に基づいてブルックス・ブラザースを提訴した。

制定法は、「人が、特許を受けていない物品に『特許』の文言を表示し、(略)その目的が公衆を欺くことにあった場合、(略)当該人は個々の違反行為について500ドル以下の罰金を科せられるものとする」と定めている。

制定法はさらに、「何人(なんぴと)であっても損害賠償請求することが可能である」と定めていることにより、スタウファー氏が米国政府に代わって訴訟提起することを可能にしている。

スタウファー氏の訴状は、ボータイに表記された特許は既に権利期間が満了しているので、その物品は法律に基づき「特許保護されていない」と主張していた。ボータイは未だに特許番号を記していたことから、スタウファー氏は、ブルックス・ブラザースに公衆を欺く意図があるとして、特許番号を記したボータイ1つにつき500ドルの罰金を科すことを主張した。

ブルックス・ブラザースは、スタウファー氏には当事者適格がないと主張し、訴訟の棄却を求めて申し立てた。当事者適格要件を満たすために、原告は、被告が原告に対し実際に損害を与えたこと、及び、裁判所がその損害を修正することが可能であることを立証しなければならない、と主張したのである。

地方裁判所はスタウファー氏が、特許の虚偽表示事件は、原告が米国政府に代わって訴訟を提起する、いわゆる「私人による代理訴訟」であることから、政府に当事者適格があることを立証したか否かという、当事者適格の争点を分析した。

スタウファー氏は公衆が損害を受けたと主張しなかったことから、地方裁判所はスタウファー氏の提訴を棄却した。

控訴審において、この事件を仲裁する意思が無い米国政府と共に原告は、特許の虚偽表示に関する法律を作ったことにより、議会は法律違反が概して公衆にとっての損害であると判断した、と主張した。

スタウファー氏はさらに、製品に権利期間が過ぎた特許を明示することによって、ブルックス・ブラザースが、ボータイの特許付与された状態に関して競争を遅らせ、公衆を欺いたことにより、概して公衆ならびにスタウファー氏に対して損害を与えたと主張した。

CAFCは、法律違反は国にとって「本来」損害であるとして、政府に同意した。CAFCはさらに、当事者適格を認めなかった過去の最高裁判例とこの事件とを比較し、過去の事件では原告が政府の代理ではなく、直接政府を訴えていた点を見出した。

判例法では、法律違反は政府自身の十分な損害であることを認めている。この事件では、特許の虚偽表示の法律は「何人(なんぴと)であっても」政府の代わりに訴訟を提起することが可能であると規定しており、スタウファー氏はこの条件を満たしている。したがって、CAFCは、スタウファー氏には訴訟の当事者適格があったと認定した。

CAFCは訴状の実体には触れずに、スタウファー氏が訴状の他の要素を立証する訴答をしていたかどうかの判断をさせるために事件を地方裁判所に差し戻した。

スタウファー事件の判決は、潜在的に米国特許番号の虚偽表示をした製品の販売をしている企業の発覚を増大させるものである。

CAFCは特許の虚偽表示の法律の合憲性に対して異議を唱えなかったが、この議論は同様の訴訟における他の被告によって取り上げられると思われる。企業は自社の現在の特許表示の慣行を調べ、製品に権利期間の過ぎた特許の表示をしている危険性があるか判断するべきである。

この判決のポイント

特許の虚偽表示を提訴する事件が最近増えている。提訴は誰でもでき、虚偽表示の罰金が商品1個に対して、500ドルという高額になることに十分注意し、特許の有効期間が満了した表示がそのままになっていると、この種の事件が起きる可能性があることを自覚し、特許表示の正確性を期したい。

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